エ○ゲーが大好物だけどHシーンのイベントムービーはスキップする派の異世界日記。最初は主要人物が順番に登場するのがデフォだけど、いきなり初日から5人もの女の子とやらかしてしまった……
Day2-10 若き傑物・キルシュ vs 学園最強・ルリノ
Day2-10 若き傑物・キルシュ vs 学園最強・ルリノ
2日目・夕方
「じゃあ、僕はそろそろ帰るね。2人も暗くなる前に帰った方がいいよ」
ガーゴイルに襲われるかもしれないからね。
「じゃあね、ヒロト様!お気を付けてぇ」
「ヒロト様……。またお会い出来る日を楽しみにしております」
パイロンは学園の生徒だけど、ノネは違う。
寂しそうにしている聖女に、豊穣の女神はキスをした。
互いの舌を絡ませ合い、指を絡ませ合い、そのまま布団の中に隠れてしまった。
そんな2人を横目で見ながら、僕は保健室をあとにした。
―――――
今日はお昼ご飯を食べていない。
それなのにお腹が減っていない。
聖女の回復魔法のせいだろうか。
だったら魔法って色々ヤバイな。
そんなことを考えながら、建物の外に出た時だった。
「大変です!ヒロト君、すぐに来てください!」
ベルデが慌てた様子で走ってきた。
「どうした!?何かあったの?」
「キルシュさんと生徒会長が……。とにかく!早くこちらへ」
「う……うん」
連れてこられたのは運動場。
辺りは大分暗くなってきていたが、そこだけは明るい。
たくさんの照明が点灯している。
電気のライトではない。魔法の光なんだろう。
―――ドーンッ!
―――ガキーン!!
爆発音ならびに、金属同士がぶつかるような音が鳴り響いた。
断続的に聞こえてくる。
「何の音?」
「キルシュさんと生徒会長が戦っているんです」
「何で!?」
「この後、どちらが先にヒロト君に抱かれるか……。その順番を決めるためです」
「……は?」
二人が戦っているようだが、動きが早すぎるためか凡人の僕には姿が見えない。
聖女と豊穣の女神の争いは子供のケンカレベルだったな。
ここでは神話レベルの死闘が繰り広げられている。
あの……どっちからでもいいんじゃない?って僕が言ったらダメなやつなんだろうか。
―――ドガーンッ!
―――ズサササーッ!
多分、ルリノさんの攻撃を受けたのだろう。
僕のすぐ近くまで、キルシュが地面を滑るように吹き飛ばされてきた。
仰向けに倒れたままの彼女と目が合う。
「……ごきげんよう私の王子様。元気そうでよかった」
「キルシュ!ボロボロだけど、大丈夫!?」
金色の綺麗な髪は砂で汚れ、軽鎧はあちこちが壊れており、肌には傷やアザができている。
「全く問題ない。この後、ヒロト殿とニャンニャンできるなら、私は無敵だ」
傑物の口から『ニャンニャン』って言葉が出てくるのが何とも不似合いなのだが。
「この後、ヒロトさんとニャンニャンするのは私ですよ」
剣を構えたルリノさんが静かに近づいてきた。
キルシュとは違い、彼女は一つも傷や汚れが付いていない。
そういえば、ルリノさんも騎士科だったが、鎧を着ているところを見たことがない。
鎧が必要ないほど、強いということだろうか。
しかし、2人して『ニャンニャン』って……。
「ウォーミングアップは終わりだ。生徒会長、次の一撃で貴方を倒す」
「私に打ちのめされ、地面に転がされるのがウォーミングアップですか?貴方に私は倒せませんよ、キルシュ君」
キルシュの体が青く光り始める。何かすごい技を使うんだろうか。
対するルリノさんは構えを変えない。
「ヒトロ君、2人を止めてください!キルシュさんが命を懸けた一撃を繰り出そうとしていますよ!!」
「えっ!マジで……!?」
どうしよう……。
ノネとパイロン相手には3Pを提案した僕だったけども、この2人にはそんなこと言える雰囲気ではない。
「待って!いったんストップ!!」
気の利いたことも思いつかず、とりあえず間に割って入る。
「ヒロト殿、どいてくれないか。生徒会長と決着をつけないといけないのだ」
「そこは危ないですよ、ヒロトさん。すぐに終わります。待っていてください」
2人は剣を収める気がなそうだ。
よし、こうなったら……
「えと……そうだ、みんなでメシでも食べに行こうか?」
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