Day2-11 会食


何か、ものすごく高級な感じのレストランに来てしまった。



綺麗なお姉さんがピアノを演奏している。

天井にはシャンデリア。

壁にはデカい絵、壁際にはデカい花瓶が飾られている。

絨毯はフカフカ。ここで転んでも絶対痛くないだろうな(小並感)



「……おい、ベルデ!こんな所に来て大丈夫なのか?」


「だ、大丈夫です。も……問題ないはずです、多分」



近くで食事ができるお店を知らなかったので。ベルデに聞いて、ここにやってきた。

想定していなかったゴージャスさに圧倒されている僕。

ベルデもビビってないか……?お前がここを教えたんだぞ!


イメージ通りだけど、キルシュとルリノさんは平然としている。



「よろしければ替えのお召し物がございますが、いかがなさいますか?」


「頼む」



さっきの戦いで汚れていたキルシュはお店の計らいで、着替えに行った。

サービスも最上級や。


それよりも……



「ベルデ、お金持ってるか?そこでジャンプしてみろよ」


「目の前に生徒会長がいるのにカツアゲしないでください!」


「ヒロトさん、この子をシメるんですね?手伝いますよ」


「生徒会長も乗らないでください!」



ベルデは涙目だ。


何となく思い付きで食事に誘ったのはいいが、僕はお金を持っていなかった。

そもそも、この世界のお金さえ、まだ見たことがない。


キルシュを案内した人とは別の店員さんが近付いてきた。



「ヒロト様にルリノ様、それからご学友の方ですね。ようこそお越しくださいました。ここは学園の関係者であれば、無料でご利用頂けます。お席にご案内致しますね」


「あ……はい。よ……よろしくお願いします」



何か、しっかりした大人にしっかりした対応をされると緊張するよね。

前世ではファーストフードかファミレスくらいしか行ったことなかったし。


僕とルリノさんは顔を知られてるんだな。ルリノさんは有名そうだけど、僕もそうなのか?

ベルデはモブなんだな。


そして……



「無料って言ってた?マジ?何を食べても飲んでもいいの?」


「ヒロト君、がっつかないでください。だからここを教えたんですよ」



勝ち誇ったような表情を見せるベルデ。



「キルシュが戻ってくるまで時間がかかるかもしれないし、先にひっかけておくか?」


「ヒロト君、育ちの悪さを隠そうとする努力をしてください……」


「ははは、貴方たちは本当に仲が良いですね」



ルリノさんは優しい笑顔を僕たちに向けていた。




ーーーーー




「美しく全能なる女神様。本作品に登場する人物は全て成人しております。法律上でも飲酒の可能な年齢を超えております。乾杯!」


「食前のお祈りをするのかと思えば、意味の分からないことを言って……。とりあえず乾杯」


「ヒロトさん、ベルデ君も、乾杯!」



ルリノさんは白ワインを頼んだ。

ベルデはカルーアミルクとオムライスを。

僕はレモン酎ハイとカラアゲとピザを頼んだ。


ごめんなさい、ごめんなさい。

高級なレストランで何を頼んだらいいか分からなかったんです。

「メニューありますか?」って聞いたら「何でもお作りいたしますよ」って笑顔で言われたんです。

大丈夫!大丈夫ですから(何が)


2杯目はおしゃれな飲み物を頼もうと思っているで。




ーーーーー




僕が2杯目を注文する前に、2人とも酔いつぶれた。



ルリノさんはワインをひと口飲んで寝てしまった。

ベルデは、オムライスはしっかり食べて、カルーアミルク1杯で沈没。

お水を飲んだ方がいいよ、などと気づかう暇もなかった。



「何だ、会長もベルデも寝てしまっているのか」



キルシュが戻ってきた。



すごく


キレイに


なっていた。



おしゃれで艶っぽいドレスを着ている。

ロングなのだがスリットが入っていて片足がほぼ丸々見えている。

ブーツではなくハイヒール。

化粧もして髪をアップにして、ティアラ風のカチューシャをつけている。

お姫様みたいだ。

昨日見たお姫様よりお姫様だ。



「キルシュ、キレイだよ」


「ありがとう。それは本心で言っているみたいだな」


「今日はキルシュの勝ちだ」


「嬉しいことを言ってくれるな。全てが報われてしまう」



僕はキルシュにキスをした。


そして、その場で……。









いつもならここで暗転するところなのだが、このタイミングで店員さんが声をかけてきた。


「よろしければご休憩頂けるお部屋があるのですが、ご案内しましょうか?食べ物や飲み物もそちらにお持ちしますよ」

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