エピーソード11
メルナリアの見た目もかなり幼いが、精神年齢や振る舞いは間違いなく大人そのものだ。だが、ビオラは、正真正銘の子供である。ビオラは2人驚きを見て、相変わらずジト目、無表情、さらにトーンがない声で
「子供じゃないです!逆にレオスさんは何歳ですか?」
「え?20歳だけど?」
「…じゃあ…ボクは21歳です」
「嘘つけ、どう見ても中学生くらいじゃねえか?てか最初のじゃあはなんだよ、今決めただろう年齢」
レオスの次、エルトも会話に参加
「それより、ビオラちゃんはいつからこのビルにいたの?」と聞くと、ビオラは
「ちゃん付けは止めてくださいエロトさん、キモいです。後、ボクは昨日からいたんです」
相変わらずエルトに厳しいだが、なんだかんだエルトの質問をちゃんと答えるビオラ。じゃあなんで最初自分たちが来た時、降りてこなかったかと聞くと、昨日が徹夜したから2階で寝てるらしい。
「≪CSH≫社の主任はともかく、なんで≪ガーディアン≫の支部責任者がビオラ…さんなんだ?」
「年下にさん付けも止めてください、キモいです、ビオラでいいです」
その言葉を聞いたレオスは鋭く
「ビオラちゃん21歳じゃなかったっけ?」とツッコんだ
「あっ、…やはりさん付けてくださいエロトさん」と、どうしても自分を子供として見られたくないビオラ。
「いや、呼び方はともかく、どうしてビオラはここの責任者なんだ?というか帝国は?何も言われなかった?」
「それは、ノヴァーリスさんから聞いてなかったんですか?」
そして、ビオラはクラークデール支部再開の経緯を一から話した。≪ガーディアン≫は、連邦の建国当初、まだ軍隊がない時代に、連邦各地にいる実力者たちが自分の町は自分の手で守るという目的で設立した自警団だった。設立当初は弱小組織だったが、≪CSH≫や他のエーテル製品会社は、資金提供の代わりに、軍や警察に提供する武器の試作品テストを手伝って欲しいという交換条件で、自警団を援助した。
警察など政府管理する組織と違って、最初は腕さえ自信があれば、誰でも加入できるというゆるい条件のため、破格の待遇目当てに加入した者がほとんどだった。加入者の背景がバラバラ、他国からやって来た元軍人や騎士もいれば、チンピラやマフィアなどの犯罪者もいる。それ故に、組織の拡大と共に、抱える問題も自然に多くなる。
結局、不満の声が日々高くなって、最終的に、自警団はその加入条件を見直し、体制と風紀も立て直した上、≪ガーディアン≫に改名、今に至る。人数こそ少ないが、個の能力が高く、特技を持ってる人も多い≪ガーディアン≫、7年前の二の舞いは堪ったもんじゃないと思い、帝国は外交圧力を駆使し、自国境と隣接してるクラークデールの≪ガーディアン≫支部を撤退させた。
だが、7年前帝国に大敗を喫した原因であるエノテラが失踪した今、帝国地下活動が活発し始めてる。連邦は帝国の地下活動を抑止するために、密かにクラークデール支部の再開を≪ガーディアン≫に要請した。そう、要請したのは部長だった。あの夜、エルトとレオスを見て、すぐに上と相談し、理由は至ってシンプル、≪天狼の心臓≫、それは警察が束になっても勝ってない相手だからだ。
要請の結果、≪CSH≫社のビオラは色々新装備をテストしたいと、自ら責任者になると申し出た。エルトとレオスについては、最初から"追い出す"予定だった、彼らが最初から志願する≪ガーディアン≫に加入させるために。
レオスはビオラの話を聞くと、不満げに
「なんだよあのハゲ、最初からそういえばいいじゃん、てかリスちゃんはなんで黙ってんだよ」
「部長さんから言わないでって…多分部長さんはツンデレですよ。後は普段の鬱憤を晴らしたいじゃないかな?特にレオスくん、部長曰く、問題児ですしね」
「ハゲた中年おっさんが急にツンデレになっても可愛くないから。ていうか、あれ?僕は完全にとばっちりじゃない?…まぁいいや、過ぎたことだし。ええと、それで、コルチカムさんはどういう経緯で?」
コルチカムの加入については、ノヴァーリスの話によると、部長の言葉通り、彼女を閉じ込めること自体は無理、もし彼女がその気があれば、翌日に警察署は死体だらけになりかねないし、もし≪天狼の心臓≫が彼女を探しに来たら、それこそ大変なことになる。それに署にいる時はずっとレオス様会いたいと言ってるから、レオスと共に≪ガーディアン≫に任せたと。
説明途中、何かを思い出したかのようにノヴァーリスはいきなり
「あ、そうそう、部長さんは最後、レオスはいずれあの子の尻に敷かれるだろ、て、言ってた」
「あのおっさん、普段は結構温厚な感じなのに、言ってることこええな」
最後、ノヴァーリスは何故自分は正式メンバーじゃないを説明した。≪ガーディアン≫のメンバーになると、名簿に名前が乗ってしまうからだと。今も≪星天教≫や≪天狼の心臓≫に狙われてるかもしれないことを考えて、名前を何処かに乗ってるのは避けたいと、だから正式メンバーは見送りにした。そもそも、もし今年何事もなければ、来年はまた再び眠りにつくので、加入してもあまり意味ないだと。
ノヴァーリスが一通り説明した後、エルトはビオラに対し
「僕"自身"はそんなに強くないから、こんな事を言うのも何だけど、ビオラって戦える?」
それを聞いたビオラは
「舐めないでください!ボクが本気出せば、小型犬くらいは楽勝です!それに、ボクは一度も一緒に戦うなんて言ってないです」
「よわっ!しかも小型限定かよ」
「エロトさんは分からないです、犬は怖いです、あれは凶暴な生き物です」
「あのさ、ビオラ、そろそろそのエロトさんって呼び方、止めてくれない?」
「エロトさんはエロトさんです」
「…はぁ、それで、ビオラは何をするのここで?」
「ボクさっきの話聞かなかったんですか?ボクは科学者です、エロトさんとレオスさんに装備を提供して、テストさせて貰うです」
ビオラは喋った後、彼女は新しい開発中の装備は全部地下室に置いたと、みんなを地下室へ案内した。
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