閑話2 ウゾと言う男

俺はウゾ。吸血族だ。

吸血族とはその名の通りに吸血をする。


基本的には動物等の血だ。なんでもいいというわけでもないが。

勿論、人間の血も吸う。人間の血はどっちかって言うと

嗜好品である。吸いすぎると酔っぱらう。


人間の血は栄養と言う点では動物と比べると落ち

成分が偏っているとボルドーに聞いたことがある。


美香にヴァンパイアと呼ばれ、特徴を聞いたが

全くもって別物だ。


そいつは、ニンニクという食べ物が苦手らしく

「なにそれ」と聞いたら勇樹が粉みたいなのを取り出し

「ニンニクを調味料にしたものだ」と差し出した。


匂いを嗅ぐ。「ふ~ん」としか言いようがなかった。

そりゃぁ苦手な匂いとかあるだろう、人間もあるじゃねえか。

野菜が嫌いとか、偏食っていうの?そんな感じ。


続けて日光が苦手らしい。そりゃ苦手だろう。暑いし。

眩しいし。人間だって帽子を着けるじゃねえか。

と言ってやった。

眩しい時は仮面をつけると言って付けて見せてやった。


美香が貸してとせがむから貸した。

「似合う?」とご機嫌だった。

因みにいまだに返してもらってない。


俺はこの村で午前中はババァ達の田畑を管理してやってる。

おれは体を使う仕事が好きだ。


畑を耕しババァ達と野菜とか作るのが好きだ。

・・・俺は食えないが。


休憩中とかババァ達に血を吸わされている。

欲しがってはいない。お願いされているのだ。


吸われるとスッキリするらしく、めまいとかがなくなり

体が楽になるそうだ。


ソミュールとかには

「昼間っから人間の血を飲みやがって。お前は

 ろくでなしか!」とよく言われる。誤解だ。


吸血族は魔法をよく使う。楽だからだ。動かなくていいし。

しかし運動神経は凄く高い。力も魔力も。

人間と比べたらどこが劣っているのかわからない。

劣っている所は多分「悪意の感情」くらいだろう。


だからこそなのか、紫の国とは友好的な関係でいられた。

姿かたちは違うが対等な立場で接してくれていた。


俺たちは武器の加護なんてないが平均的にすべてが使える。

特化した加護持ち人間にはかなわないが。


一つを極める者と、全てをそつなく平均以上優秀未満の者

どっちが強いかなんて俺にはわからない。


さっきも言ったが俺は体を動かすのが好きだ。だから

戦闘とかは肉弾戦だ。爪をよく使う。脳筋とよく言われる。


行動もついつい先に絡んでいってしまう。性格かもしれない。

目が合うと「何か用か?」と聞いちゃったりする。

相手が気になる物を持ってたりすると

「いいもん持ってるじゃねえか」と聞いたりする。

詳しく聞いて知識を広めたいからだ。


この世の皆は優しい。貰えたりすることが多い。


勇樹は俺に二つ名をくれた。「チンピラ」と。

紫の国の王子が直接だ。俺はうれしかった。

他の吸血族はみんな貰っていない。自慢だ。


しかし今まで2~3回しか勇樹は呼んでくれない。

早くその二つ名だけで呼ばれたくてしょうがない。



そういえばヴァンパイア。それ多分こっちから

向こうに言った吸血族なのではと思う。


十字架なるものが特に嫌いらしいが。

おれも嫌いだ。というか何かあったら

すぐに神様にお願いとか恥ずかしい。

そっちのほうが嫌いだ。


日光に当たると灰になる。は

多分冗談だろう。

魔獣はやられると灰になる。


それをもじって笑わそうとしたのかもしれない。

そのセンスがうまく伝わらなかったのだろう。


血を吸った相手、特に女性の血を吸ってたらしい。

そりゃそうだ、俺もどっちかと言われれば・・・うん。


吸ったら吸血族になる?それはただ、

そう多分・・・ナンパだ。



と考えながら、

俺は今日もババァ達の畑を耕す。


早く勇樹達、戻ってこねえかなぁ。











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