第20話 ルナティア
二日後 クレマンの村
「じゃあその辺の魔獣でも狩りをしにいくよ、ド派手に
私と分かる魔法を使ってね」とベルは言う。
「スパルタだ・・・鬼だ。」とソミュールとファルツ。
移動しながらベルは思う。
まず皇女が向かう先はシンの森だ。
・・・というかすでに着いてるかもしれない。
そして魔方陣の痕跡を調べるだろう。
私ではない、他の何者かが作ったと知るだろう。
あの出鱈目な魔方陣を。
絶対に興味を示す。誰が作ったのかを。
・・・まぁ、ばれてるかもねぇ。
「そこで私がこいつら連れて魔法をぶっぱなしながら
狩をしている所と出くわす。」
と魔獣を見つけてはちょっと変な攻撃魔法をぶっ放している。
ちなみに、何故か隣にイフリートさんもいらっしゃる。
「そんな上手く出合いますかね」とファルツ。
魔力を吸われてまだ回復してないのでふら付いている。
「上手く行くよ、・・・ほらね」とベル。
向こうから数十人の鎧をまとった兵士たちが来る。
その中央に馬に乗った、ローブを纏った女性。
その横には美しい鎧を着た女性。
その二人が兵士たちを20メートルほど後方で待機させ
馬から降りてベルに歩み寄る。
「あらら、おめずらしい方が居るわ。ごきげんよう」と
馬から降りたローブを着た女性が話しかける。
「こちらこそですわ、ルナティア様」
とベル様は言い、続けて
「あら失礼、今はルナティア様で間違いないですよね?
それとも、創造神エアスト様の方ですか?であれば
膝まづく必要ありますしね」
と何か、とんでもないことを言った。
「混ざりあってるからどっちもよ、知ってるくせに。
あんたの筋書き通りになったわ。そう・・・
あんたの孫夫婦に、してやられたわ。」
とルナティア。
「あーでも結構楽しいわよ、今の状態。」とルナティア。
ところで、とルナティアは話を切り替える。
「こっちに来たのはあなただけ?違うわよね?誰が来たの?
あれれ、おかしいなぁ、かわいいひ孫ちゃんがいないわね。
一緒に帰ってきたんじゃないの?」
続けて
「それとも別な人と帰ってきたの?例えば・・・
そうねぇジェニエーベルとか?」
「あぁ、そこの弟子たちに聞いてるよ。紫の国の王子だろ?
私があんた、いやエアスト様から逃げた後に滅んだんだってねぇ。
えぐいねぇ、えぐいことするねぇ創造神様も」
「残念ながらまだ会っちゃいないよ、その子と。
ルナティア様がお考えのように・・・」と少し強調して言い
「私のひ孫を使って帰ってきたんだよ。
先にジヴァニアをこちらに飛ばして、発動させる魔方陣を教えてね。
そして私を呼んでもらったのよ。よくできたひ孫だろ?」
全てバレていると思い、ベルはひ孫の事を言った。
ソミュールとファルツは(無駄に吸われた・・・)と嘆いた。
「で、そのお孫さんは?」とルナティア。
「この世界が楽しくてしょうがないんだろうね。
まぁ、ちょっとした魔法も使えるし。冒険者になると言って
どっか行っちまったよ。どっかに行っちまう癖は孫の・・・、
孫のウォッカに似たのかねぇ。もしかしたらウォッカを探す旅に
でたんじゃないのかな?」
とベルは少し悪びれた笑いを浮かべ言った。
「あの女の話はするな・・・。」と凄むように怖い表情を浮かべ
ルナティアは言った。ふと見ると目が金色に光ってる。
「あの女呼ばわりしないでおくれよ、バーボンの嫁さんだ。
あんたもバーボンに助けられたんだろ?ルナティア様」
眼から金色の光がなくなり、ルナティアは
「まぁ、いいでしょう。そういう事にしとくわ。ところで
こんなところで何しているの?」と言うと
「この近くの街、いまは村かね。そこの婆さんたちに頼まれて
魔獣を討伐してるのさ。少ない賃金でね」
とベルは言うと
「そんなの住み着いているそこの吸血族に任せればいいじゃない」
とルナティア。
ソミュールとファルツは「バレてたのか」と二人して
顔を見合わせた。
「じゃあウチで雇ってあげるわ。三食昼寝つきよ?どう?」
とルナティアは言うと、グラーブに馬を準備させた。
「連れて行く気満々だねぇ、でも三食昼寝付きは魅力だね。
いっしょにいこうかねぇ」
そう言うとベルは準備された馬に乗った。
「お前たち、村の婆さんたちによろしく言っときな。
討伐報酬はお前たちにくれてやる。次会うまでに
訓練しとくんだよ、私の弟子なんだからね」と二人に行った。
そしてルナティアはベルを連れ青の国へ帰っていった。
ファルツは思う。
美香、いやジヴァニアの事を強調することで勇樹君の存在を
隠した。騙せたかどうかはわからないが・・・。
そして自身が青の国に行くことで紫の国とは関係がないと
態度で示した。
少し歩きファルツは少し立ち止まり、考える。
ベル様が孫夫妻であるバーボンとウォッカの名前を出し、
ルナティアを動揺させうやむやにさせた。
何があったのだろうか、それと創造神エアスト様?
混ざりあった?何それ。そしてウォッカの名前を出した時の
ルナティア様の表情。そしてバーボンの名前を聞いた時、我に
還ったような感じのルナティア様。
わからないことだらけだ。この世界はなんなのだ。
ともかく、勇樹君の存在を隠せたことを、
隠すことが出来たと信じたい。
次回、第一章 最終話
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