第一章 最終話 出発

「ファンタジーよ、勇樹!ファンタジー!」

ユネーフェルの街に入りそれはもう美香はご満悦であった。

街並み、行き交う人々の服。もうキョロキョロが止まってない。


街に入る前に二人はファルツ達が準備してくれた服に着替えた。

美香はベルが持ってきたコスを着ようとしたが勇樹に止められた。


「それやめよう?目立つよ・・・。ファルツが準備したこっちの

 ローブにしたら?」と勇樹が言うと


えー。といいながらもファルツが着ていたローブと似たものと

着た。勇樹は似合う似合うと言って笑っていた。

「なんか、勇樹の、普通ね」と美香が言うと

「それがいいんだよ」と勇樹。


因みに門番の人にはふたりで金貨4枚だった・・・・。



「ここか、茶華飯店。」と勇樹は建物の前で呟く。

二人はドアを開け中に入る。


時間帯なのだろうか、すこし客が多く空いている席が少ない。

二人は窓際でちょっと目立ってしまう所に座った。


壁にはメニューがいろいろ張られている。

「なんか、軽めがいいかな。・・・というか軽めの食事って

 どれなんだ?」と勇樹が言うと

従業員らしい者が近づき

「軽めと言ったらスワンサンドがいいと思いますよ、お客様。

 そちらの方は?同じでいいんですか?」と言う。


「見ない方々ですね?冒険者様で?」と聞かれ

黄の国から今日ついて、知り合いと待ち合せてると伝えた。


美香は目をキラキラさせて

「私は肉がいいわ。味は濃い目がいい。ここのおすすめ

 食べさせて。」と続けた。


「じゃあ、サングリアの煮込みセットがいいかな。

 今日の日替わりですし。」と言われ


美香はそれでいいわとお願いした。

従業員は注文を受け代金を先に受け取ると厨房へ行ってしまった。


「勇樹さんや、ちょっといいかな」と美香。

「はい、なんでしょう、美香さんや」と勇樹。


「猫耳だったねぇ、猫耳」と美香。

「えぇ、猫耳でしたとも」と勇樹。


などと、話していると横に一人の男が立った。


「どうやら無事にこれたみたいですね、勇樹君」


二人が横を見ると、金髪を後ろでくくり、

ちょっとカッコいいローブを着た、めちゃくちゃイケメンが立っていた。


「も、もしかしてユキちゃん?」と勇樹。

「ち、ちがいます、今はコルンですから・・・」と

そのイケメンさんは言った。


「なにあんた・・・まじでイケメンなのね。

 あっちの世界ではもう人気アイドルよ」と美香が褒めるほどに。


コルンは同じテーブルの勇樹の横に座り

「親父!俺にはフランゴの甘酢セットね」と言うと、

厨房から

「お?コルン、先週来なかったから病気か?とか心配したぞ」

と笑顔で言い、注文受けた。


こちらではそこまでイケメンじゃないです。まぁ、し好は国によって

違いますしね。と3人分のお茶を準備しつつコルンは言う。


料理が来ると3人は食べ始めた。

勇樹のスワンサンドはなにかサンドイッチみたいな感じのもので

美香のはデミグラスソースで煮込んだ感じの物

コルンの物は、なんか、まんまチキン南蛮だった。


3人は食事を終えると店をでた。


「じゃあ早速出発しましょう」とコルン。


門の所に少し小ぶりの馬車があった。

どうやらこれで黄の国までいくらしい。


コルンは門番になにか紙の様な物とカードみたいなものを見せ

少し談笑している。


コルンは帰ってくると「出発ですよ~」と言いながら

馬車の御者席に座り、二人に後ろに乗るように伝えた。


「おいおい、コルン。お前が御者なのか?使用人じゃなくて?」

と門番は言うと、コルンは


「あ~、この二人は護衛しかできなくてね、だから安かったのよ」

と少し困ったような顔で言った。


門番は「じゃあ気を付けて行けよ」とコルンに手を振り見送った。


ある程度走ると勇樹君が

「ねえねえ、俺に御者させて?」となにか興味津々で言ってきた。


コルンは、じゃあ練習をしましょうと言い一緒に御者席に座り

楽しそうにしていた。

美香は後ろの荷台でなにやら持ち物整理をしている。


「ここからだと黄の国までは結構かかりますので長旅に耐えられるように

 色々準備してきましたよ。着くまで3人で楽しくいきましょう」と

コルンは勇樹君に言うと、振り返り美香に

「美香さん、低位の精霊でいいので呼んでもらっていいですか?

 魔獣の探索してほしいです」と言った。


「そうね」と美香が言うと美香はちょちょいと魔方陣を書き

精霊を呼び出した。・・・もちろんフィギュアに統合までした。


「今度はこれよ」とご満悦の美香さん。

見ると体はシルバーと赤。人型ではあるが何か宇宙人っぽい・・・。


「ウルちゃんよ、ウルトラんがいいかな。う~ん。ウルえもんがいいわ」

と美香が言うと勇樹は

「ウル○ラマンかよ、美香さんの趣味の範囲がわからん」と

少しため息をついた。



「楽しくなりそうですね、黄の国までの旅は」と嬉しそうに、

楽しそうにコルンは言った。


「何もなければいいけどね」と勇樹君。

「何言ってんのよ、何かないと困るわよ、

 イベントっぽいのあればいいなぁ!」と美香。



そして馬車は黄の国に向かう。



母さん、俺色々やってみる。母さんが何を望んで

何をしようとしていたのか。俺なりに考えて母さんに

自慢できるような生き方をするよ。一生懸命ね。


と勇樹は思いつつ。





同日同刻 黄の国 とある屋敷


「あらま、おいらに見張りが付いたか・・・。なにかあったかな。

 うーん。心当たりは・・・・。ありすぎてわからん」


クレイっぽい色の髪の男はそうつぶやき窓の外を見ていた。




第一章 完



「紫の国」第2章 へ続く



 

 












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