第13話 両親の行方は・・・

「なあ、美香。固定式とはなんだ?」と

ソミュールは不思議そうに聞く。


美香は

「私もある程度しか分かんないんだけど、魔法が

 大きくなるにつれ時間かかるじゃない?なので

 時間指定を魔方陣に組み込み間違いがない様に

 先に書くのよ、んで時間が来たら魔法を唱える」


「突発的な戦闘とかは無理だけど、情報を先に仕入れておけば

 戦闘でも敵の行動を予測して使えるみたいよ?

 でも唯ちゃんのお弟子さんでそれが出来たのは

 いままで一人だけだったみたいよ?」と美香。


「なので上級以上の魔法を使う時は確実にしたいので唯ちゃんは

 ほとんど固定式にすると言ってた。でも、あっちの世界に

 転移した時は「のっぴきならない事態」だったので

 固定式じゃなかったみたい。」


美香は逆に聞く。

「ねぇ、魔法士と魔導士って聞くけど、何が違うの?

 いい方がたくさんあるの?」


ソミュールは

「一緒だよ、じゃあ説明する。んとね、魔法系にはね

 攻撃魔法使い、精霊使い、回復魔法使い、補助魔法使いがあるの」

と説明を始める。


基本的にスタートは同じで、低級の魔法はほぼ全ての

魔法を扱うものが使える。なので攻撃系の魔法使いでも

低級の回復は使える。しかし、中級以上になると武器の加護が

影響してその武器特有の魔法しか使えなくなる。


なので美香は精霊使いなので

低級の攻撃魔法と、回復魔法、補助魔法は使えるが

中級以上の魔法は精霊系しか使えない。まぁ使えはするが

中途半端になって威力も低級より低くなる。ほぼ失敗する。


転移の魔法は精霊系の上位に位置するので他の魔法使いが使うと

中途半端になってしまい、失敗する。ただし、魔力量が多いと

中途半端に成功してしまう。


で、魔導士と言うのはそれらの魔法系を上級まで使いこなし

人に教える事が出来る人たちの総称で、ちょっとした試験を

受ければ誰だって魔導士と言える。


との事らしい。


美香は「じゃあさ、攻撃系の魔法使いが転移魔法を使ったら?」

と質問した。


「まぁ失敗するだろうね、でも下手に魔方陣が上手く書けてたり

 呪文が上手かったり、魔力量が高かったりすると、中途半端に

 成功するだろうね、体半分だけとか頭だけとか、魂だけとか

・・・・・・・」


「あー・・・・・。」

と二人は何かを想像した。


ある程度の休憩を取ると二人は移動を開始した。30分ほど走ると

どんどん悪路になっていきバイクでは少しきつくなってきた。


「もうこの辺でバイクおいておこうかな・・・」と美香が言うと

「もう少しなのでがんばれ」とソミュール。


5分ほどで石畳になりそして指定された場所についた。

「多分ここだろう、あれが妖精の碑だ」


美香はバイクから降り、碑の所に歩み寄る。

手をかざし目を閉じる。


そして振り返り

「ここで魔方陣を書くわ。時間かけて、ゆっくりと

 間違いがない様に、丁寧に、確認し、そしてまた確認する」


「・・・タクトもってくればよかったなぁ、まぁがんばるか」

ともつぶやく。


美香は魔方陣を書く前に辺りに聞こえる様に言う。

「私はベルジュラックの血を受け継ぐもの、ジヴァニア。

 お願いがあるの。今から魔方陣を書くけど少し力がたらないわ。

 皆さんの力をお借りしたいの」


沈黙が流れる。


一時するとシャボン玉の様な物が美香の所に集まっていく。

「ベルと家族みたいよ~」「きゃきゃきゃ」

「ほんとだほんとだ、色が似ている~」

とワイワイガヤガヤしだしてきた。


ソミュールは美香は何してるんだ?と言う顔で見ている。

どうやらソミュールには見えもせずに聞こえもしてない様だ。


「ソミュール?あなたの魔力も借りるわよ?」と美香。

「・・・知ってた。だから連れてきたんだろうに」とソミュール。


そして美香は魔方陣を書き始めた。




少し前の、クレマンの村


「そろそろ出発しよう」勇樹君はそう言うとウゾと一緒の馬に乗る。

私は勇樹君にめっちゃしがみついた。


道中色々と話をした。

そう、夜にボルドーと話した中身の事も。

そして、


「勇樹君、ひとついいかな。ミネルヴァ様を迎えて、村に帰って

 色々と終ったら、その後どうするのです?」

と直球で聞いた。


「う~ん。どうしようかな。俺は確かに王子様だったらしいけど

 だからと言って国を復興させるとか敵を討つとかピンとこないんだ。

 両親の事もほぼ覚えてないし。」


質問の意図が分かったみたいで、一呼吸入れてから・・・


「でも俺がこっちに帰ってきたことで、御旗が出来るってことでしょ?

 紫の国にいた人たちにとってはこれほど待ち望んでいたことはないと思う。

 所謂、反攻の士気が出来てしまい、また争いになるだろうね。」


「まぁ、考えておくよ、今後の事。」

「そういえば、俺の両親は死んだんだよね?」


私は知る限りの事は教えてあげた。

「結果しか知りませんが、お二人とも行方不明ではなく

 お亡くなりになっています」


王であるアルザス様は青の国にて処刑

王妃であるサンテミリオン様は城にて自害


「そして王妃は遺体はなく、ただ灰のみが残っていたそうです」


これはボルドーに聞いたのですが、と前置きをし

「サンテミリオン様はもう後がなくなった時、城に残って

 交戦をつづける者たちを自分の全ての魔力を使い、生命力さえ、

 本当にすべてを使い、魔法で城の外に転移の様な魔法で

 弾き飛ばしたそうです。」


「でも、その時には勇樹君とミネルヴァ様は既に城にはなく

 先に城の外に落ち延びたらしいのです」


「そうだったんだね・・・」と勇樹君はつぶやいた。


「ところで。」と勇樹君は前置きをして


「ユキちゃんは魔法使いよね?」と聞いてきた。


私は

「こう見えても攻撃魔法系の魔法使いなんですよ。

 なんてったって魔導士で学者ですから」と教えてあげた。








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