第6話 それぞれの初戦闘?

ホワイトラビットが居る。

勇樹は弓を引き構える。

息を吸う。

そして放つ。


放たれた矢はホワイトラビットの頭を貫いた。


仕留めたホワイトラビットを取りに行きながら

勇樹は思う。

・・・普通に、当たり前のように出来るんだな、俺。と。


獲物を手にみんながいる所に帰ると、なんかいろいろと

草・・とか、なにかの実とか沢山あった。

「よし、料理の時間だ」

勇樹は笑顔で言うと包丁を取り出した。


「結構持ってきたのね、あっちから」と美香。

「そりゃぁね、あっても困らないと思ってつい買いすぎちゃった。

 刃物だけでも5種類かな」そう勇樹が言うと


サバイバルナイフ、包丁、折り畳み式のナイフ、果物ナイフ、十特ナイフ


「よ、よくこんなに買えたね、怪しまれなかった?」美香がそう言うと

「全部、違う店で買ったよ、さすがに・・・」と頭をかきながら言った。


勇樹は何かの書物を取り出し、それを見ながらホワイトラビットの皮をはぎ

食べられるように下処理を行った。


「うへぇ、私はあっちで果物でも切っておく・・・・」と美香。


勇樹は細かく切った肉を竹串に通し

竈の上に設置したBBQの網の上に並べた。


一時するといい匂いがしてどうやらいい塩梅に焼けたようだ。

美香と勇樹は手に取り食す。


「うまいっちゃあうまいんだけど、肉だね。肉。」美香がそう言うと

「あー、ごめん。」そういうと勇樹は何かを取り出し、肉に振りかけた。


「これ結構好きな調味料なんだよね、なんにでも合うからよくキャンプする時に

 持って行っててさ。」


「旨し!」美香はご満悦である。


因みにわかんない草みたいなのにはマヨネーズをかけた。

「草の苦みとマヨネーズが合わさってすごく旨いよ、これ」

勇樹はユキちゃんにストックしておくからもうちょっと取って

来てほしいというと、ユキちゃんは

「大丈夫です。どこにでも生えてますから・・・」と言った。



昼ご飯も済み、またバイクに乗り移動を始めた。

途中5回ほど休憩しながら6時間くらい走り続けた。


一直線にシンの森に向かっている。ユキちゃんは、寄り道をすれば

村が一つ二つあることを勇樹に伝えたが、今はシンの森に余裕を持って

着きたいとの事だった。


少し予定から結構遅れてしまっているのは

休憩時間が長かったからなのかそれとも思ったより

スピードが出なかったからなのか、わからないが。

辺りが少し薄暗くなってきた。


後から聞いたが、勇樹はガソリンの消費を抑えたかったらしく

回転数を少し調整しながら走ったという。


「なんかいい感じの所ね、遺跡っぽい?今日はここで野宿かな」

と美香は楽しそうに言うが・・・・


ここは既に吸血族のテリトリーになっていると思う。でも

出現が確認されているところからは結構離れているので、と

私も同意した。


それでも極力、火が漏れないようにと、四方から見えにくい所で

火をおこし、そこでテントを張ることとした。

うまい具合にでかい石がごろごろしている所があったので

そこにテントを張った。少し明かりが漏れるが・・・。


ユキちゃんは一人考える。

移動した方向と距離から考えるに、ここはどうみても

クレマンという村から馬車で1時間ほど走った所にある

カルバドスの遺跡だ。しかし、ここまで荒れていたのか。


青の国の領地になってからは人も近寄らないようになって

いるとは聞いたが・・・。

クレマンの村もすでに廃村に近い感じだと聞いたことがある。

こういったところにも戦争の影響があるのだろうな。


ユキちゃんは、この辺りにはホワイトラビットもいるけど、

それよりも肉質の良いフランゴという鳥が居ると伝えた。

この時間帯は巣に居ることが多く、

あんまり活動的ではないので捕まえやすいことも付け加えた。


「今度は私が取ってくるわ!」

美香はそう言うとチルちゃんを頭に乗せすでにどっかに行った。


ま、まぁチルちゃんは妖精なので、索敵・・・というのだろうか、

そう言った気配には気づくから適任と言えば適任か・・・と

ユキちゃんはブツブツと。




「美香しゃん、あそこになにかいるよ~。多分フランゴ♪」

とチルちゃん。

美香はタクトで魔方陣「らしきもの」を描く。

と同時に「ファイア」と呪文詠唱もせずに魔法名だけで火の玉を飛ばした。


平均的な魔法士は陣作成に5秒ほど、詠唱に5秒ほどかかる。

それを美香は魔方陣を簡略化し陣作成に2秒、さらに無詠唱なので0秒


「大成功~♪」と美香は超笑顔で言った。そして思う。

色々考えていたのよねゲームしながら。魔方陣はきちんと描くことで

魔法をそこから発現させて正確に敵に向かって撃つことができる。


魔方陣は魔法により描き方はあるが7割くらい陣の形式は同じなので

その部分が「最初からそこにあれば」必要な所だけを書けばいい。

だから私は前もってタクトに魔方陣の変わらない部分を魔力として

刻み込んでみた。

詠唱に関しては異世界ラノベによくある無詠唱のコツを実践しただけだ。

理論的に火と言うものが何なのか、あっちの世界の知識だ。


「今度唯ちゃんにも教えよ~っと♪」



フランゴ片手に美香が戻ってきた。勇樹君に渡す。

「ニワトリじゃん・・・」と勇樹君。



調理が終わり、鍋にいろいろと入れて煮込んだ。

勇樹君は何かのブロックを鍋に入れた。




「今日はシチューね」



出来上がり、みんなでホフホフしながら食べていると背後から


「旨そうに食ってるな、俺たちも混ぜてくれや。まぁ俺たちは

 そんなもん食えないがね」


振り向くとそこには吸血族が5人ほどいた。



・・・・最悪だ。












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