第3話 ゴーレム達 

鋼鉄の召喚獣はすごいスピードで走る。

もうついていけないので美香のバッグの中に入って移動した。


ずっと唸りをあげている。どれだけ獰猛なのだ・・・。


「着いたよ」


美香はツヤツヤした兜を脱ぐ。聞くと、その兜を付けないと

どうやら免許なる契約が切れて召喚獣に乗れなくなるらしい。


小さい物置小屋のような建物に入る。細い通路、階段を上り

一つの部屋に入る。


なんと!私の目に飛び込んできたのは書物!書物!書物!

壁一面に並べられたすごい小さな書物。興奮した。

これだけの所蔵、美香はただものではないと悟った。

美香に尋ねると「ラノベ」なるカテゴリーに属す異世界の研究書らしい。


是非読みたい。というか絶対に読む。

反対の壁に目を移すと・・・なんと!

大量のゴーレム達!100、いや200体はいる!

がしかし、すべてが小さい。大きいものでも約60センチほどだ。


!?わたしは一体の女性の形をしたゴーレムに目を奪われた。

なんという造形。そのゴーレムはぴっちりとした黒い衣服をまとい

すごいプロポーションで台座の上に立っている。

台座には「みね ふじこ」と書いてある。


わたしはこのゴーレムに会うために転移したといっても過言ではない出会い。

興奮している私をしり目に美香は話をしてきた。


もちろん私は聞く耳を持たない。

ぜひともこのゴーレムと統合を・・・・・。統合。


そうだ、私は今、精霊っぽい何かになっている。

もしかしたら出来るかもしれない。わたしのこの魂を

このゴーレムへ取り込ますのだ。


そうすれば魂だけの精霊っぽい何かの私は動かす体を手に入れることが

出来る・・・はずだ。


少し怒ったようなかおで私を見ている美香へ話をする。

統合をするには精霊使いである者が魔法の印を描き、詠唱を行う必要がある。


私は魔術師であり学者ではあるが精霊使いではない。そのスキルがないのだ。

しかし、魔法の印の描き方と詠唱のやり方は知っている。


もう居ても立っても居られないのでそのことを美香に伝えた。


「・・・知ってる。その魔法の印と詠唱」


美香は少し驚きながら、そして唖然としながら私に言った。

私も少し信じられないのでどのように魔法の印を描き

どのような詠唱するか尋ねた。


・・・合っていた。。何故だ・・・。何故知っているのだろうか。

美香が言っていた「紫の国」というゲームなるものの知識なのか。


ここまできたら試すしかない。私は美香に印と詠唱をするように

言った。今すぐだ。・・・。


勿論、はやく「みね ふじこ」というゴーレムと一体化したいわけではない。

決して違う。なぜ詠唱を知ってるのかを検証したいからだ。断じてだ。


美香は細い見たこともない素材でできたタクトを取り出した。

そのタクトはゲームの付属品と言うものでそれで印を描いていたらしい。


とりあえずやらせてみた。

凄い。見事な印だ。それに滑らかで清らかな、流れるような詠唱。


詠唱が終わると私はゴーレムに吸い込まれていった。


(あぁこれで「みね ふじこ」と一体になれる・・・・。)


ふぁぁ!?

何かと一体にはなったが「みね ふじこ」は私の目の前にあった。

私は何と統合したのだろうか・・・。


美香は興奮気味に話した。


「もうね!夢にまで見てたのよ!ユキモリが動くのを!」


ユキモリ。それはとある文献に出てくる未来の人型兵器の名前で

人間のまま、ゴーレム、いやロボットと言うらしい。

そのロボットの中に入りガウナなる未知に生命体と戦う物語らしい。


美香は「動くの!?ねえ!早く動けや!」と、とても興奮して

手が付けられそうもないので動いてあげた。


まじで成功している。

どうして成功できるのだ。ここは私のいた世界なのか・・・。

いや、違うはずだ。


そのあたりも含めて美香と話をすることにした。


そして私達は三日三晩、寝ずにお互いの世界について話をした。


・・・はぁ。「みね ふじこ」と統合したかったなぁ・・・。



同日同刻 とあるマンションにて


こんな母さんを見るのは久しぶりだ。

息子の俺から見てもとても綺麗ですこし天然が入っていてる。

真面目な話をしてもとても可愛く見えてしまう。


俺はマザコンかもしれない・・・。いや、マザコンだな・・・。


「今、最後の準備をするから呼んだらわたしの部屋に来て・・・」


と言うと母さんは部屋に戻っていった。

天然復活か・・・。






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