第2話 加納 美香とコルン・ブラント

「私ね、変なのがよく見えるのよ。でもこうやって話ができるのは

 初めてだわ。いつも最初に話しかけるんだけどね、どっか行っちゃうか

 私の中に入ろうとするか、なのよね」

そういうと、ちょっと綺麗なお姉さんは話をつづけた。


要約すると

霊体っぽい何かに話しかけるのは祖母の教えらしい。

もし仮に話ができる霊体が居たなら、必ず手助けをするようにと。


どうやら祖母はもっとはっきり見えるらしいが、あまり外には

出ないらしい。この能力は遺伝と言う奴か・・・。


そもそも話が出来たのが初めてだったので、なにをどうして

手助けをすればいいかも詳しく知らないらしい。


ちょっと綺麗なお姉さんだけに話をさせるのもアレだったので

私もここにどうやって来たかを話してみた。


「じゃああなた!異世界から来たのね!」

そういうとちょっと綺麗なお姉さんは目をキラキラに輝かせ

食いついてきた。


「私、加納 美香(かのう みか)。あなた名前あるんでしょ?」


私は、コルン・ブラント、25歳、独身。出身は青の国。

と、丁寧に答えた。


美香は不思議そうに

「ねぇ、紫の国って知ってる?・・・あ、ごめん、知らないよね」


私のいた世界では紫の国とは約15年ほど前に青の国に滅ぼされた国だ。

何故その名前が出たかを聞いてみた。


「祖母にね、薦められてやってたゲームがあるのよ、その中にあなたの言う

 青の国が出てくるの。そのゲームの名前は『紫の国』っていうの」


ゲームとは様々な体験ができるものらしい。なんと勇者にも成れるらしい。

是非私もやってみたいものだ。是非後でやらせてもらおう。

この体でもできるのであればだが・・・。


そのゲームでの美香は、それこそ精霊使いであり回復魔法もできるという。

そんな人材、私の国に居ればもう皇帝の近衛兵にはなれるだろう。


その昔、紫の国があったという事を伝えると


「ねぇ、その大陸の名前って?」


真剣な表情で聞いてきたので、私も真剣な表情(多分)で答えた。


エアスト大陸と。


美香は驚き、

「ねぇ、貴方、私とちょっと来ない?ついでにこの世界の色々な知識を

 教えるから・・・。見てほしいものがあるの」


そりゃ勿論ついていくに決まっている。この世界の事も知りたいし

青の国や紫の国の話についても聞いてみたい。


そうと決まれば移動することにした・・・が!


なんなのだ!この鉄!?の馬なのか!?いやまて!

わかった!これは召喚獣!それもむちゃくちゃ強そう!


と驚いている私をほっといて、美香はなんかツヤツヤした兜をかぶり

召喚獣の角らしいところに触れると、その召喚獣は

すごい遠吠えをあげた。


わたしは興奮しながら美香にこの召喚獣の名前を教えてもらった。


その名は「ヤマハ・ワイゼットエフ・アールニジュウゴ」

くっそ長い名前だった・・・。


同日同刻 とあるマンション


母は少し寂しげに、でも微笑みながら話をつづけた。


「あなたに話さなければならない事があるの・・・。それに多分

 こんな機会はめったにないはず」


そういうと僕がやってる「紫の国」というゲームの画面を指さした。


「あなたはここに帰るべきなの」


母さん・・・。もうちょっと眠とこうか・・・。


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