第33話

 その時、本部内で激しい揺れがした。

 本部内放送も途絶え聞こえなくなった。

 辺りを赤いランプが包みこんだ。

 立ち止まった女性軍人たちの顔も青くなりだした。


「ではな! あっ!」


 リーエがおひるねこを手放そうとするが、おひるねこが胸元にひっしとしがみついてしまった。


「ふふ……早くいきなよ。TUはなんとかする」

「ふー、悪いな。エデルによろしく言っておいてくれ!」


 リーエは天井から埃が舞って来るアベンジャーズ・ザ・ウィメンズ本部内をガレージまで突っ走った。


 ガレージにはソニアルがある。研究所所長といっても過言ではないエデルがアベンジャーズ・ザ・ウィメンズの粋をかき集めて作り出した人工知能搭載の車だ。


 アクリル板の通路を走り抜けると、オイルの臭いが強いガレージのドアに辿り着いた。中の車には、廃車も混ざってあるが新社もある。雑多なガレージ。


「ソニアル!」

「はい! いかがなされたのですか!」


 返事をする車。そのソニアルに乗って、リーエはおひるねこと共に遺伝子工学研究所へと走った。


「あ、そうだ! 後で、おひるねこにご馳走をしないとな……」


 リーエはハンドルを強く握りながら、呟いた。

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