第14話 mission2 the unknown (未知なるもの) 

「ねえ、そのサンドイッチの作り方だけど」

「ええ、簡単よ。だたスライスして挟むだけ」

「そう、それなら戦場への携帯食にもできるな。今度作ってみよう」


 リーエはクリスの差し出すサンドイッチに興味を持った。トマトケチャップ以外は、スライスされたサラダだけの簡素なサンドイッチだ。


「うーん、私は缶詰の方がいいわね。戦場だとどうしても型が崩れてしまうわよ」

「あらそう?」


 クリスは微笑んだ。

 リーエの顔も今は平和だ。

 昨日の資源貯蔵庫の緊急ミッションも無事終わり。今はSFTSも襲来しない貴重な休日だった。

 

「ニャー」


 猫がリーエたちの座るベンチに寄って来た。

 ここはアベンジャーズ・ザ・ウィメンズの端にあるせせこましい庭だった。常緑樹が数本植えてあり、他はベンチが二つしかなかった。

 中央に申し分程度の噴水がある。


「ニャー」

「にゃー」


 リーエも猫撫で声で猫をあやしていると、次第に愛着が湧いて来た。様々な戦場を駆け抜けて来たリーエにとって、今の時間はなによりも貴重だった。


「飼い主はいないようだ」

「そうね。みんな忙しいから……」

「よし、飼ってみよう。今日からお前の名はおひるねこだ」

「さすがに、可愛いわね」


 と、その時。

 猫の総毛が逆立った。


「え?! な、なんだ!! この感覚は?!」

「う! ……まずいわね……」


 クリスは勢いよく立ち上がり、叫んだ。


「エデルが前に言っていたの!! アベンジャーズ・ザ・ウィメンズ本部に時々入り込む知的生命体がいるって!!」

「SFTSか?!」 

「いえ、別の生き物よ!!」

「何故今まで言わなかった!!」

「確証がまったくつかめてないの! それに、誰も姿を見た人はいないの!」

「それでは、どうしてその存在に気が付いたんだ!」


 リーエの怒声にクリスは俯き加減にこう言った。


「確実に死亡しているの。一週間前から本部で謎の変死体がでてるわ……」

「な、なんだと……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る