第12話

「フッ……」


 リーエはアドレナリン超加薬を素早く飲みこんで、真っ正面から飛び掛かった。


 プラズマショットガンをSHの周囲に撃ち放つ。

 大量発生する動物型、水棲生物型などのSFTSは、それぞれプラズマが貫通した。

 

 SHが首をかしげる。

 次には、SHの胴と首がいつの間にか離れていた。

 緑色の血液が勢いよく宙を舞う。

 電光石火のリーエのソードエネルギーによる切断だった。


「?!」


 クリスは気が付いた。

 二体のSHが黒煙で覆われた建造物の上から遠巻きにこちらを見下ろしているのだ。

 

「に、二体も人型SHがいるわ……それに様子を窺っているの……? SHの知能はほとんど人類と同じようね……」

  

 リーエは気にするような素振りがない。

 未だ大量のSFTSと交戦中だった。

 クリスは大型コルトを腰のホルスターから抜いた。

 建造物の上から、正確にはSHから、様々なSFTSが産み出され、地上へと降り注いでいる。


 それは……まだ、様子見といった感じだった。


 クリスは、大型コルトで狙いを定める。

「リーエの戦闘能力を知りたいようね……でも、こちらは……二人いるのよね」


 大型コルトが火を吹いた。

 一体のSHが建造物の上で、頭部が破裂した。

 もう一体のSHが屋上の奥へと逃げ隠れた。


「まだSHが一体いるわよ!! リーエ!!」

「了解!!」


 次から次へとSFTSを両断しているリーエ。後方ではジェリーが戦っていた。


 その中でクリスは大型コルトとサブマシンガンをソニアルから取り出すと、一人。SHがいる建造物の上へと駆け出した。

 階段を探すと同時に、SFTSを片付け。

 13階建ての建造物の屋上を目指した。


「フハハハハハ! どうした! やはりこんなものか! それとも、貴様らまだ寝ているようだな!!」


 リーエは建造物の上のSHの方へ向かったクリスの方をちらと見ると、迫り来るSTFEをソードエネルギーで両断しては、珍しくクリスのバックアップをすることにした。


「トッ! ハァ――――!!」


 アドレナリン超加薬はもうない。

 リーエはそれでも果敢に地上を埋め尽くすSFTSを両断していった。


 クリスはSFTSで溢れた階段を勇猛に駆け上る。

 一階、二階、三階とそれぞれ動物型SFTSが咆哮を上げて、襲ってきた。それらをサブマシンガンで蜂の巣にしつつ。サブマシンガンの弾が尽きると、クリスは大型コルトの弾倉を確認した。


 大型コルト。コルト・キングコブラは、回転式拳銃で357マグナムを使う。非常に強力な銃だ。だが、SHに果たして通用するのかとクリスは考えた。


 弾倉は後、二つしかなかった。

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