第10話
「さあ、ご飯だよー」
ここはリーエの家。
外の寒さが嘘のような暖炉の暖かさで満たされたキッチン。
桃色のエプロンをしたリーエは、得意の鍋料理を食卓に運んでいた。
クリスとエデルと、そして、さっきリーエたちの窮地を助けてくれた女性軍人が座っている。
「……え? 何、この人? 二重人格なのかしら?? さっきまで、あんなに高圧的で凶暴な軍人だったのに……? 変わっているわねー。ハハッ、面白そうな人ね」
リーエはエプロン姿で女性軍人に向かってニッと笑ってやった。
女性軍人の名はジェリーという。重火器専門の軍人だった。柔軟な性格のクリスとは反対で、鉄仮面を被ったかのような冷たい目をしていた。銀色のボブカットの少々筋肉質な体格だった。リーエの豹変ぶりに興味を抱いていた。
「そう、リーエはエプロン姿の時だけ凄く可愛くなるのよねえ。ほんと家庭的よねえ」
クリスの一声で、場の雰囲気は一層と暖かくなった。
リーエはエプロンをつけると、人が変わるようだ。
凄く家庭的になるのだ。
「リーエも、さあ早く座りなさいな」
「うん……」
クリスが食卓の椅子をリーエのために後ろへ引いた。
エデルもリーエの食卓にはいつも駆けつけていた。エデルはメガネを掛けた四方に髪の毛が尖ったキンキンな金髪頭だ。
今日も暖かな湯気が鍋から立ちのぼるリーエの家だった……。
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