第9話

 だが、突然、倒れているSHの背中から大量のSFTSが噴出した。


「増殖?! 産み出した?! 自ら生産しているの?!」


 クリスが青ざめた。

 これにはさすがの高圧的なリーエも一瞬目を閉じたが……。


「貴様ら……私に本気を出させる気かーーー!!」


 カッと目を見開いたリーエは、ただの軍人ではなかった。幾つもの勲章を持っているのは、幾つもの死線をかいくぐり、無数のSTFEを殺した張本人だからだ。全て修羅場をくぐり抜けてきた証拠だった。

 リーエは残りのアドレナリン超加薬を全て口に放り込んだ。


「はあああああーーー!! ……ぐっ!」


 瞬時にリーエを恐ろしい吐き気が襲う。それを我慢しても、今度は体中がバラバラになるほどの激痛が迸った。


「リーエ! 無茶よ!!」


 クリスの声も無視してリーエは、ただソードエネルギーを二刀構えて、突っ走って行った。


「行くぞ!!」


 弾丸のような速さで、両刀で無数の様々な形のSTFEを斬り刻む。

 だが、そう長い時間リーエの身体は持たないだろう。そう、クリスは内心思った。腰に差したホルスターから大口径のコルトを無意識に取り出していた。


 その時、リーエとクリスの前方50m先で、大爆発が起きた。STFEはほとんどがパラパラと肉片を中空にまき散らす。


「あ、もう一人いるんだったわね!」


 クリスの期待の声に、また大爆発が起きた。


「援護だといいけど……RPGの乱射よ! リーエ伏せてー!! ほんと、無茶苦茶ね……ここが砂漠でよかったわね……」

 

―――― 

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