病院と思しき建物の奥、なにひとつ記憶のない状態で目覚めた男のお話。
導入からしてすでに只事ではない、現代もののホラーです。
まるで廃病院のような不気味な建物で目を覚ました主人公。
自分の素性すら思い出せないまま、建物の中をおそるおそる探索し……という筋の物語。
謎だらけの状態から少しずつ全容が詳らかになってゆくタイプのお話で、意外な展開というか、先の気にさせ方がとても素敵。
ついつい先へ先へと読まされちゃうし、その先に待ち受けていた意外な展開に驚かされます。
好きなのはやっぱり真相というか、最後の最後。
綺麗というか、「なるほど」と腑に落ちる感覚があって、でもそれがそのまま「ヒエッ」と恐怖の中に突き落とされる感覚でもあるところが最高でした。