第36話 外伝その2
――分かり合えないから
そうじゃないよ。
詰まるところ腹が減るからさ――
山脈と云える程には高くない、『大鬼』の集落跡を調査がてらの見物に赴いた時だった。
「どういう事だ? フランツ?」
「そのままの意味さ」
「要は言葉が通じないとか文化が違うとか」
「それよりもっと根本的な問題って事だよ」
「見てごらん。数年経つというのに、山のこちら側は禄に植物すら育っていない」
「全部食い荒らして食べ物がないから、危険を冒してまで侵略してくるのさ」
「そんな事考えた事も無かったな」
「ロベルト、君は海って見た事あるかい?」
「噂には…」
「辺境とはいえ、大陸でいえば真ん中よりだからな」
「王国の西の方は海に面してるって聞いた事はあるけど…」
「なんせ辺境生まれ辺境育ちなもんでさ」
「そうか」
「では、大陸の東側の海、その先の魔大陸については?」
「…お伽話だと思う」
「ははっ」
「そうだね」
「あそこでは数百年も領土問題を抱えて、互いに争ってるって話だよ」
「みたいだな」
「俺達なんてかわいいもんだ」
「そっちでも皆腹が空いてるって事かい?」
「…どうだろうね」
「なんだよそれ笑」
「団長殿! こんな所にいたんですね」
「調査に出した斥候班が戻りましたよ」
「あぁ今行く」
「フランツ?」
「ん?」
「あぁ、ごめんごめん」
「今日は野営になるぞ」
「急いで戻ろう」
「そうだね」
鉄花のナヴィガトリア 外伝
『Take Me Home, Country Roads』
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