第6話 メガロポリスパトロール

――『王都奪還作戦』

概要:4年前、不死人の魔の手に堕ちた王都を奪還すべし。尚、本依頼は戦時条項1章の2項により国難に認定され各位強制参加とする。


報酬:等級及び戦果を査定しその旨は戦時条項1章の3項に準拠するものとする。


期日:獅子王の月内必着とし、各位携行食糧7日分持参の上、完全武装において参加せよ。


備考:本作戦の前段階において偵察任務有り。希望者は散華の月までに別途ギルド窓口にて確認せよ。


依頼主:暫定諸公連盟――



「ジジ…もう一回読んでくれ…」


「何回読んでも一緒ですよ……」


「ど、どうされたでゴザル? 戦でゴザルか?」


「あーもう! クソッタレ!!」

「アタイらまだ銀等級に上がってねぇんだぞ!!」

「オッサンのせいだかんな! あの宝玉がありゃあ今頃…」


ロベルト「……」ガタン


「ちょ、ちょっとロベルトさん」

「エイダさん! ロベルトさん怒って出て行っちゃいましたよ!」


エイダ「やっべ……」「お、おいオッサン! 待てよ!」バタン


「はぁ……浅慮遠望せんりょえんぼうとはこの事ですね」


「果たしてそうでゴザろうか」


「ランマルさん?」


「あの顔は……」

「まるで戦におもむく武士の顔でござった……」




「ハァハァ」

「オッサン! 待ってくれよ!」


「……」


「悪かったってば!」


「……なんの事だ」


「へ? だってアタイが変な事言っちまったから怒ってんだろ?」


「……違う」


「じゃ、じゃあどうしたってんだよ?」

「いつも無口だけど今日のオッサン、なんか違うんだよ」


「……お前達には関係ない」


「関係ないってなんだよ!」

「アタイ達パーティーなんだぞ!」


「……昔の話だ」

「……俺とアイツのな」


「だから! アタイらパーティーだっつってんだよ!」

「あのケチ猫ならこう言うぜ!」

「ロベルトさん死なば…死なば…何だっけ? モロキュー??」

「とにかく!」

「アタイらパーティーが戦で成り上がるにはオッサンが必要なんだよ!」


「……偵察任務に志願するつもりだ」

「……王都は今『死のメガロポリス』と化してやがる。下手すれば死ぬぞ」


「へっ! 望む所だってばよ!」

「本作戦前に銀等級に上がれるかも知れないしな! そしたら犬死にしなくて済むってもんよ!」


「……アイツとケリをつける」

「……協力してくれ」


「あたぼーよ!」




「あ! ロベルトさん戻ってきたんですね」

「エイダさんが失礼な事を言ってすみませんでした」


「……いいんだ」

「……それより」


「おっと! こっから先はアタイから言うぜ!」

「アタイらは偵察任務に志願する!」

「そんで成り上がって一気に銀等級目指すぜ!」


「ふぅ」

「やっぱりそう言うと思いましたよ」


「戦は武士の本懐でござる! 戦場にはきっとあのお方も居られるに相違ない!」


「だってよオッサン」


「……感謝する」


「ヒューマンの諺で言うでしょう?」


「死なば諸共もろともの木刀、ですよ」



「それだーー!!!」




次回 『一度きりのラブ・コール』

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