初手から同い年義妹の裸を見てしまった件〜妹が兄を嫌うのは普通だからこれが正しき兄妹の形だと思う〜
@morukaaa37
プロローグ
高校初めての春休みも終盤に近づき、冬の寒さもおさまり始めた今日この頃。冬の頃から変わらずガンガン暖房を効かせたせいで、布団から起き上がる頃には背中にじんわりと汗が浮かんでいた。
そこまで汗をかく自覚がなかったオレは、はてと首を傾げる。いつもだったら、ここまで大量の汗をかくことはないのだが。
ベットに放り出されていたリモコンを手に取り、表示画面を見ると暖房の設定温度は28度。別に至って普通である。
頭にはてなマークが浮かんだが、リモコンの斜め上の数字を見て気が付いた。
11:30 まさかの昼起床である。
オレは薄暗い部屋のカーテンを開け、窓を開く。
外からは春のうららかな光がさしていた。
光の眩しさにオレは思わず目を細めるが、すぐに慣れ窓から外を見渡す。
ふと、家の前に止まっている車が目に入った。見たところ中々の高級車である。黒く光るレクサス。大手会社の役員が乗ってそうなエリート感が漂っている。
何故こんな普通の団地にあんな高級車が止まっているから疑問だったが、起きたばっかりのオレの脳には、大して重要なことには思えなかったので、オレは欠伸をしながら部屋を出ることにする。
春の乾燥に加え、長い時間エアコンの風を浴びていたせいで目がボソボソする。
廊下の明かりはついていて、片親であるオレの母親はもう起きていることが分かった。何故起こしてくれなかったのだろう。疑問である。一生寝てろと暗に言われているのだろうか。まあ、オレは母親に何一つ親孝行をしたことがないので分からなくもない。オレだったらこんな息子さっさと施設に送っている。
片親の割に金があるうちは、立派な一軒家だ。オレの部屋は2階。一階にある洗面台へ向かうため、オレは階段を降りる。
下からはテレビの笑い声が聞こえてきた。これは、バイキングだな。この謎に重い空気を感じる番組はバイキングだ。間違いない。
何やら番組は盛り上がっているらしく、かなりの音量で流れていた。オレはなるべく親にバレないように階段を静かに踏む。
今のうちにシャキッとした顔になり、「え、一時間前ぐらいから起きてたけど気づかなかった?」みたいなスタンスでいくつもりだ。
廊下を降りてすぐ忍足で横の風呂場に入る。扉は閉まっていたが、ゆっくりと開け、隙間に体を入れて無音で入った。任務達成である。オレはそっと扉を閉め、洗面台へ向かおうとする。
─────その時。
オレの目にうるわしい女の子の一矢纏わぬ扇情的な姿が映った。
それは寝起きのオレの気怠さを吹き飛ばすような衝撃的な美しさ。その曲線美は慎ましくなめらかで、その造形に余分なものなどないように思える。
濡れて雫が滴り落ちる糸は、黒に少し茶が混じり、陶磁器のような肌に馴染んでいた。
まあ、とりあえずオレの母親でないことは確かだろう。こんな、綺麗な肌してないし。こんな若くないし。…………ん、誰?
寝起きでロクに回ってない脳は、事態のおかしさをうまく把握していなかった。だから、オレはそのビー玉のような瞳が風呂のものとは別の雫を流しつつ、オレの方を強く睨みつけたのに気が付かなかった。
「な、何やってんのよ、あなた」
「へ?あ、ちょっ、ちょい待ち。とりあえずアレだ。顔洗ってもいい?」
「いいわけないでしょ!!出て行って!!」
ぼーっとしていたオレの顔に、一陣の風が吹く。それは、久しく感じたことのない激しく鋭い風。オレの顔を激しく揺らし、頭にかかった靄を一瞬にして晴らしてくる。
文学っぽく表現したが、つまりビンタである。おい、おかしいだろ。ここオレの風呂だぞ。なんで知らない裸の女がいんだよ。ありがとう神様。
「早く出てって!」
再度、叫ばれ、オレは慌ててドアを開け外へ出る。事態が全く把握できないが、とりあえず逃げた方がいいのだけ分かった。
さっきから飛んでくる化粧水の瓶に背を向け、オレは風呂場から出て、廊下に座り込む。
「……なんなんだよ、ほんと」
そう一息ついた頃には、オレの目の前にはさっきの女とは違い鏡餅みたいな肌をした女が仁王立ちでこちらを睨んでいた。
「ねえ、バカ息子。言い訳は?」
手からポキポキと骨のなる音が聞こえてくる。
オレの背中には起きた時とは別の汗が流れていた。
「いや、待ってくれ母さん。これは、事故で」
「男が言い訳するんじゃないわよ!!」
そのまま風っていうかもうただの暴力がオレの頬に炸裂した。
言い訳は?って言ったの誰だよ。理不尽すぎる。
はあ………で、結局あいつ誰?
初手から同い年義妹の裸を見てしまった件〜妹が兄を嫌うのは普通だからこれが正しき兄妹の形だと思う〜 @morukaaa37
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