第4話
家のドアをノックする音がして、跳ね起きた。きっとユウナだ。
あわてて開いたドアの向こうには、女の人二人と、男の人が一人いた。服装からして、警察官でもなさそうだ。一人の女性は僕と同じか、それ以下ほどの歳のようだった。
僕をじっと見つめる3人と対面すると、心がやけにざわついた。西日が彼らの後ろから差し込んでいる。3人ともに影が落ちていて暗く、黒かった。よく目を凝らすと、その表情がどれも固く強張っているのがうかがえた。
何も言い出さない人達を前に、僕はたまらず声をかける。
「どなたですか?何の用です?」
3人のうち、年配の女性の方がわっと泣き出す。男性の方がなにか喧しく騒ぎ立てたように思ったが、それが耳鳴りのように頭に痛くて、やけに喉が渇いた。
僕は生唾を飲み込む。眼球にまっすぐ差し込んでくる西日をうっとおしく思う。皮膚の表面が音を立てるようにじりじり焼ける。
僕の中身は冷や汗をかくほど冷たいのに。表面との差が気持ち悪かった。
視線を足下に落とさないと前を向いて置けないほどの頭痛を抱える。僕はしっかりと音が鳴るまで玄関のドアを閉めた。ドアの向こう側から止まない声がした。それが遠くで叫んでる声なのか、耳元で話しかけられたものなのか、わからない。
ユウナは柔らかいパステルカラーの服を好んだ。いつもワンピースを着ていた。記憶の中にいるユウナはひらひらと風を纏っていて、それは非常に触り心地の良い布だった。
ワンピース以外のものを着ている姿は見たことがなかったが、彼女にとても似合っているので、僕は特に何もいうことがなかった。
むしろ、買い物に行くと、僕のファッションについてユウナがあれやこれやと口を挟んだ。今持っている服なんかも、ユウナがコーディネートしてくれたものだ。
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