第137話 自称勇者達の
「なっ! 何この魔力!」
「ライ! 村の中心よ! ぐるぐるしなさい! これは邪神の神力! あっ、消えた······」
「そうみたい、ぐるぐるしようとしたのですが、無くなっちゃいました」
急に感じた強大な魔力で目が覚めましたがなんだったのでしょうか。
「場所は村の中心、村長の家近くだと思うけど、
「そうだね、ぐるぐる~、ほいっと!」
五人の魔力をぐるぐるしてさあ魔力を抜いちゃおうとした時。
「えっ! 魔力が吹き出してきましたよ! テラこんなのって!」
「くっ、行くわよライ! 今度はもう殺るしか止められないかも! 隙があったら殺っちゃうのよ! 良いわねライ!」
「うん! 行くよ! 転移!」
パッ
反応があった場所に転移してきて見えたのは、村長さんの家の前にあった広場にある倉庫。それが大きく崩れ、そこには二十メートルくらいの大きな犬さんや羊さん、虎さんに猪さんが混ざったような五匹。それでいて、その額にはあの五人の顔がくっついている魔物でした。
「キメラね、人間を媒体になんかすれば力の方に引っ張られて意識はあるけど体のいう事は効いてないでしょうね、ライぐるぐるは続けなさい、まだまだ大きくなるわよ!」
「じゃあ村の外に転移! よし、追いますよ! 転移!」
パッ
「村の外ね、良いわよ、まだまだ大きくなりそうだしさっさとやっちゃえ! 弱点は聖属性か光属性よ!」
「うん! でもその属性で攻撃ですか······とりあえず目眩ましです! テラ目を閉じて! 光さん物凄く光って下さい!」
二十センチほどの光の玉を立ち上がって五十メートルを超える背の高い五
『グキャァァァー!』
「行きますよ! シッ!」
一気に足元まで走り込みこの跳躍、前屈みになり手で顔を覆っていますから人の部分は隠れて見えませんが! 手首に着地し刀を抜き様に振り抜きました。
ずるりと右手首が落ちて額が半分
「見えました! ごめんね!」
見えた顔の顎下をスッパリ切るイメージで、刀を左上から斜めに切り払いました。
残りの左手で押さえていたためか、切り口からずるりと後ろに一度ずれ、力が抜けた左手と共に今度は前にずれ、前のめりのまま一
「神眼! 良いわよ! 今ので神力が消えたわ!」
「うん続けて行くよ! シッ!」
まだ顔を覆い目も見えていないであろう二
「神眼! 良いわ! 次!」
そうして四
少しだけ跳躍し人の顔のある高さまで来た時その目がこちらを向きましたが真横に刀を振り抜いた後でした。
『オ······レタチハ······ユ······ウ······シャ』
その言葉を最後に、巨大な体は後ろに倒れ、ズズンと大きな音を立て近くの森の木を押し潰し、動かなくなりました。
「神眼! 良いわよ。これで全部ね」
「うん。あっ! 何か出てきたよ! でもこの感じ! ぐるぐるー! ほいっと!」
五
「神眼! 嘘! 私の力に何か混ざってるけど良くやったわライ! 私に注ぎ込むのよ!」
「やっぱりそうなんだ! もちろん、でも変な感じの物は抜いておくよ、ぐるぐる~、ほいっと!」
目の前まで操作し近づいた魔力から、必要無さそうな物を取り除いてテラに注ぎ込みました。
「ぬふふふ。ブラックダイヤモンドと同程度が五つね。悪くないわ。でも、あいつら何してくれちゃってるのよまったく」
「テラの力にこんなの混ざっていたけどこれって捨てても良いの?」
テラに注ぎ込んだ後、残り物の五つの魔力をぐるぐるしながら浮かべています。
「ん? それはスキルね、それも最弱『微』のね。それに私のを混ぜ込んで強化していたのよ、しかも丁寧に偽装して分からなくなっていたし、でも――」
「ダンジョン以外にも探せる場所が増えたから、僕も探すね」
「ありがとうライ。もしかして、魔力の流れを見たら偽装していても分かるかもね」
「うん。感じは覚えたから道行く人からだって感じ取ってあるのが分かるかな。よし、じゃあ片付けようか、ごめんね、助けられなくて。収納!」
そして五体を収納して村の方に歩いて戻ってきたのですが、篝火が炊かれ、村が夜の闇に浮かび上がっています。
「説明は必要そうね······」
「うん。なんて説明するか悩むところだよね、あの5人が大きくなったとか、見せるのが一番簡単だけど······」
やっつけて、凱旋なのですが、なぜか足が重いです。
「おい! 凄い音がしたんだが何事だ! 倉庫は大破して、捕まえた五人がいなくなってるぞ!」
よし、もう少し頑張りましょう。
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