第67話 海賊退治です 三島目完了
「テラあの人達は!」
「ハゲの人以外海賊よ!」
うん。確かにハゲてますがそんなに大きな声で言うから聞こえてますよ······ほら、うずくまっちゃいましたよ!
そんな事を思いながら、三人の海賊を武器に手をつけさせる前にお腹に一発ずつ。
「今の三人爆発する魔道具持ってるわ! 収納しちゃいなさい!」
おっとそれは危ないです。
「分かりました! 収納!」
「ライ! また裸じゃない! 服は戻しておきなさい!」
「あっ、勢いが付きすぎましたね、ほいっと!」
お腹を抱えた海賊達は着せようとした瞬間に動いてしまったので上手く着せる事はできませんでしたが、顎を蹴り抜き気絶をして倒れた体の上に服が乗ったのでよしとしましょう。
「転移!」
パッ
「だから服がここに残ってるじゃない!」
「あはは······ライってちょっと抜けてますね~」
うっ、そんなに言わなくても······
「転移! ほ、ほらあの海賊達の上に転移させたからね」
「はぁぁ、まあ良いわ。そっちの呆けてるおじさんにも広場に行ってもらいなさいね」
薪を担いでいたおじさんに事情を話し、気絶していない海賊達に気を付けて広場に向かってもらうことにしました。
カンカンカンカンカンカン
「気付かれちゃいましたかね?」
二つ目の島と同じ様な半鐘が鳴り響いたと思ったら海の方から爆発音が聞こえてきました。
ドゴーンドゴーン
「違うようね、魔物よ」
「魔物? あっちの方か······」
ぐるぐるを爆発音が聞こえた方に広げていくと大きな魔力がこちらに近づいてくるのが分かりました。
「凄く大きな魔力ですよ! あのナインテールくらいの大きさです······あれ? 一緒に小さな魔力も······テラ?」
「見てみるからライはそっちに急いで!」
「分かった。プシュケもしっかり掴まっててね!」
「はい!」
ダンッ
一気に屋根にまで飛び上がり音のする方向に屋根を走り、飛び、また走り。
「見えました! 亀、大きな亀ですよ!」
「アクーパーラね。大人しい魔物よ、うふふ。卵を産みに来たようね。ライ、あの攻撃してる大砲を収納しちゃいなさい! 全然無傷だけど怒らせてしまうわ」
「あの小さな魔力は卵なんだね♪ よしじゃああの辺りの物は全部収納しちゃいましょう! せ~の!」
「待ちなさい! また裸ん」
「収納! え? 何か言った?」
浜で塩を作っていたようですが、煙の上がっていた建物も、置いてあった馬車も全て収納して更地になりました。
「いえ。もう良いわ、元々パンツしかあそこの人達着てなかったから、それは収納して無いみたいだし」
そこはさっきやったばかりですからね、意識しましたとも!
「あはは。大丈夫ですよ。あの辺りの物と魔道具だけにしましたから。あっ、こっちに逃げてきますね、ここは少し高台になってますから」
「そうですね、亀さんアクーパーラさん動くたびに波が押し寄せていますよ。それで皆さん避難してますし、こっちにちょうど一本道ですから一網打尽ってヤツです」
うん。それ行けそうですね。
高台にある家の屋根から見ていると、パラパラですが走って坂道を上がってきます。
そして、海を見下ろせる場所に集まってきて、アクーパーラさんが徐々に海から上がってくるのを見ています。
「くそったれ! なんだよあの亀は!」
「売り物の塩が全滅しちまったぞ!」
「帝国から買った大砲も見えねえぞ! 一基いくらすると思ってんだよ!」
「大砲はその前に消えただろ! 見てなかったのか! 周りの塩小屋物まできれいサッパリ消えちまっただろうが!」
指差したり頭を抱えたり少しガラの悪そうな人達はそうだよね?
「ねえテラ。あの集まって騒いでる方が海賊だよね?」
「ええ。まずはあの五人ね、それと今登って来た奴ら帝国の貴族よ。船も大きな物があったでしょ」
「え? 豪華な海賊船だなって思っていたけど······じゃあ帝国と海賊が仲間?」
「詳しくは分からないけれど、話からすると大砲は帝国の物を買ったようだし、その可能性は高いわよ」
そうなのですか······じゃあ。
「それならもしかして人攫いは帝国が絡んでるってことかな? 僕はラビリンス王国だと思ってましたが」
「私もそう思ってたけれど、この感じだと帝国の方が怪しいわね」
テラはムルムルの上で腕組しながら難しそうな顔をしています。
「じゃあ捕まえて父さんに相談だね。気絶させてしまいましょう」
広大な砂浜に上がってきたアクーパーラさんに皆さん目を奪われている内にテラに聞いた海賊と貴族、それに貴族についてきた兵士さん達をぐるぐるさせ気絶させていきます。
気絶させた海賊達から広場に転移させ、海側にいた全員をやっつける事ができました。
消える海賊達に驚き騒ぎだしていた帝国の人達は沢山の魔道具を持っていて、魔力回復が結構早かったのですがもちろん全て収納して気絶させましたよ。
そして残りの人達は山側にいました。
途中広場によって、捕まっていた人達に集まってもらい簡単に説明。
そして山側の畑作業をしている人達の元に向かいました。
「海賊は五人って言ってたわね。いるのは五十八人ね、ライ五人はこの林間道を抜けてすぐのところにいるわよ。あとの人達はバラけているからすぐ分かるでしょ?」
「はい。やっちゃいますね~、ぐるぐるしながら~、魔道具を~、収納!」
「ライ、獣避けの魔道具があるからそれももらっちゃいなさい。町長さんにあげたら喜ぶわよ」
「うんそうだね、ん~とあっ、これだね。収納! 全部で八個ありましたよ。畑にしたところだと少し足りないかもしれませんが良いお土産ができました」
そして林間道を走り抜ける頃には海賊達も気絶していましたから、その横に置かれていた半鐘がありましたので鳴らして皆さんを集めました。
ここでも簡単に説明して、広場まで戻り、捕らわれていた人九十人、海賊六十三人、帝国貴族達五十人を連れてお屋敷に戻りました。
そしてまだいましたね王様。
王様は、なぜか先ほど連れて帰った二島目の人達にオークを焼いているところでしたが、僕が三島目を攻略して連れて帰って来た人達を見て······。
「海賊どもは数も数えられんのか! 百人ちょっとの筈がなぜその倍近くいるのだ! 海賊自体も五十人近く多いではないか! それに、それに、その帝国の紋章が入った鎧を着ている者達はなんなんだ! 一人は貴族服ではないか!」
うんうん。王様、それは僕も思いました。
僕はオークの追加をマシューに預け、カヤッツに海賊達をお任せして、アクーパーラの産卵を観に行くことにしました。
だって、滅多に見れるものじゃないって言われたので余計に見たくなったから仕方ありませんよね。
それには父さんと母さん、王様と宰相さんが一緒についてきましたが王様? 海賊の事は良いのですか?。
ふむふむ、カヤッツに詰問させている間にアクーパーラの産卵をですか。
やっぱりみんな中々見ることのできないことなのでぜひとも見たいようです。
「それでは、転移!」
パッ
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