第66話 海賊退治です 二島目~三島目
「なんだお前達は! どこから現れやがった!」
「そんな事よりガキ! お前知らねえか、ここのみんなはどこ行ったのか!」
あれ~、残りの船から回収するため桟橋がある場所に転移してきたのですが、船から魚の入った網や、野菜かな? が入った木箱を船から下ろしているところに出くわしてしまいました。
「週に一度の食料を届けに本島から来たってのに誰もいやがらねえ!」
なるほどです。最後の三島目から食料を運んできてるのですね。
ん~っと全員で五十人ですね。
(そうね、みてみるわ。
おお! ありがとう♪ 流石テラ♪ 良く気がつくし可愛いし♪ じゃあぐるぐるやっちゃうね♪
(なっ! か、可愛い。······ま、まただわ······胸がドキドキしてる······これってやっぱり)
ん? またムルムルを摘みだしましたね? おお~、のびるのびる! くふふふ。そのくらいでやめてあげてね。おっとそう言えば話しかけられてましたね。
「あのですね、ここにいた人達はお昼前に皆さんいなくなりましたよ」
「何! どういう事だ!」
「おい、アイツら逃げたんじゃねえか? もうすぐアレが始まるからよ」
アレってなんでしょうか? 言われたおじさんも少し考えている風ですが。
「ああ、あれな。だが時期はまだ
「だよなぁ」
よし、聞いてみましょう。
「あの、アレってなんの事ですか?」
僕に喋りかけられ、『そういやガキがいたな』って顔でこちらを振り向きました。
「ああん? なんだそんな事も知らずに海にいるのかお前は」
なんだか海の常識みたいですが、まだ来たばかりですし。
「はい。先日始めて海に来たばかりですから」
「ったくしゃあねえな。もう一月経てば海流に乗って魚の群れと共にシーサーペントがこの海域にやって来るんだよ! 魚ってのはな、海流にのってこのでかい海をぐるぐる回ってるんだ。それにくっついてやって来る。その時ばかりは海賊といえど海から上がるんだ、覚えておけ!」
「おおー! シーサーペントですか! 一度見てみたい気もしますね······」
「何ごちゃごちゃ言ってやがる! シーサーペントなんざ出会ったら終わりよ! クソ! お前ら荷物を船に戻せ! すぐに帰るぞ!」
「ライもう良いんじゃないですか?」
「うん。聞きたい事も聞けましたし。ぐるぐる~、ほいっと!」
荷物を運んでいる人達以外、十五人いる海賊が次々に倒れて行くのを見て荷物を運んでいた人達は歩みを止めてその場で立ち止まっています。
まだ気絶していない海賊も同様にその光景を見て止まっています。
「なっ! 何がどうなった! なんで倒れてんだおい何があっ······」
ドサッ
「なんなんだこれは! おい! どうした······」
ドサッドサッ
「おい! 海賊達が全員倒れたぞ!」
よし、全員無事に気絶しましたね。
船の方も今、気絶しましたし、皆さんを集めましょう。
「は~い皆さ~ん♪ 助けに来ましたよ~!」
そう言うとみんな僕の事を見て、手に持っていた荷物を地面に下ろし、僕のところに集まってきてくれました。
「助けとは本当か少年」
「はい。まずはその鉄の腕輪を外さないとですね」
「ああ、助かる。鍵は······いた、こいつが確か持っていたはず」
そう言うと、海賊の一人を足で蹴り転がすと、仰向けになったおじさんの腰には鍵束がくくりつけられてありました。
「それのようですね♪ 外した後ですが、一度サーバル男爵領に行ってもらってから皆さんの町や村に帰ってもらう事になります。それについての滞在費や旅費も心配ないので安心して下さいね♪ なんと王様が出してくれることになっています!」
「「
皆さん驚いていますね。くふふふ。
「はい、皆さんの事をとても心配されていましたからね。早く無事と報告しないとですね♪ さあ腕輪を外してしまいましょう」
そこからは早かったです。あっという間に二十人の鉄の腕輪は外され、お屋敷に転移。
するとまだ残っていた王様を見てみんな一斉に跪き、「苦労をかけたな。今はゆるりと体を休めよ」と王様が言うと「「
それを見ながらカヤッツに海賊を任せて島に戻り、島中の使えそうな物は全て収納し、最後の島に転移しました。
「良いじゃない。また上手い具合に塀の外のようね。流石にさっきの小島に比べると大きそうね」
「うん。気配がバラけてますから手間がかかりそうですね。テラ、プシュケ、端から順にやっつけていこうと思うので、また背負子で行きましょうか」
「そうですね、今までみたいに固まっていてくれれば良いのにね。まったく」
プシュケ、海賊さんにもお仕事があるはずだからバラけるのも仕方がないと思いますよ。
それから背負子を出してプシュケをを装備!
「さあ、端から順にやっちゃいましょう! シッ!」
ここは三メートルほどの高さがある塀を、助走をつけて飛び越えます。
ダッ
壁を飛び越え着地したところに腰に剣を持った人がいますが狙い通り、木の棒でお腹を突き、屈んだところ顎を蹴り抜き気絶させます。
「ライ! この人の魔力をぐるぐるさせて魔力欠乏に! 魔道具も収納しちゃいなさい!」
「うん! 収納! 次行くよ、海賊かどうか分からない人がいたらテラ、教えてね!」
「任せなさい! ほらほら私の方を見てないで早くやっちゃうわよ!」
(もう! 落ち着きなさい私! 今は海賊をやっつけることだけ考えるの! ミスなんかしたらライになんて思われるか······じゃなくて! うう~、パパのせいね! 今度ママにパパの事言い付けてやるんだから!)
「テ、テラがムルムルを無茶苦茶引っ張ってますが、大丈夫?」
「ん~っと、ムルムル痛くないの?」
ゆらゆら
ムルムルは突起をのばし、ゆらゆらとゆらし答えてくれました。
「「
「な、何よ! ほらほら前を向いて! あの二人は海賊よ! やっておしまい!」
「は~い。ぐるぐるから行くよっと」
走る僕達に気付きましたが、もう剣を抜く時間はありませんよ!
「シッ! シッ! はっ!」
おへその辺りに棒を突き入れ、低くなった顎を蹴り抜きました。
ドサッドサッ
「魔道具も取っておくのよ!」
「うん。収納! ほいっと!」
それの繰り返しで、道を進むと広場が見えてきました。
「よし、今まで倒した海賊達はここに集めてしまいましょう! せ~のっ! 転移!」
ドサッドサッ
ドサッドサッドサッ
「考えたわね。次行くわよ!」
「はい!」
そしてまだ沢山いる海賊をやっつけるため、人の気配がある方に走り出しました。
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