第65話 海賊退治です 二島目の残り

「到着です。気を付けてね、近くにいますから」


 島の中心地点に転移してきた僕達は身をかがめ辺りを警戒します。


「大丈夫見付かってないわね。それにしても上手い具合に塀の外なんて幸運ね」


 え? 僕だって考えてますよ?


「はい。海賊達の前に出ちゃうと思ってました」


 プシュケまで!


「いやいやちゃんと考えてますよ。地図があったでしょ? そこよりちょっと島の中心方向に転移したのですから。でも塀の外とは本当に幸運でした」


「まあそう言うことにしておくわ。で様子はどんな感じなの?」


「あのですね、二十人くらい集まっているところとそれより少なくて十五人かな。所々二名ずつ高いところ、見張り台でしょうそこにいるのが海賊でしょうね」


「なるほど。三十五人ね。見てみるわ。んん神眼~。逆ね。二十一人が海賊よ捕まっているのは十五人。だから多い方そっちをぐるぐるしちゃって」


「了解です♪ 見張りを捕まえた人達にやらせてるんだね。僕だけなら間違っちゃうところでした。テラがいてくれて本当に助かるよ。ありがとうテラ♪」


「べ、別に大したことじゃないわ。ほらほら私を見てないで!」


(何かしら? パパが変なこと言うから意識しちゃうじゃない······私は大地の神なのよ。今は分け身だけど······でもこのままライが······)


 テラは少し顔を赤くして、ぷいっとそっぽを向いてしまいました。


 くふふふ。ムルムルを摘まんで引っ張ってます。痛くないかもしれませんがほどほどにしてあげてね。


「は~い♪ やっちゃいますよ~、ぐるぐる~」


 五分ほどしてその二十一人の魔力がなくなり気絶したようなのでプシュケを抱えて二メートルほどの塀を飛び越えます。


「なっ! 何者ですか!」


 見張り台の上にいた人達に見付かりました。


「こんにちは♪ 皆さんを助けに来ました。もう海賊達は気絶させたので皆さんどこかに集まってくれますか?」


 見張り台にいた二人の男性は顔を見合わせ大きく頷くと。


「本当に大丈夫なのか? 鐘を鳴らして良いならすぐに奴らの家の前に集まれるが」


「おお! それはありがたいです♪ ぜひお願いします」


 もう一度見張り台二人は顔を見合わせ頷くと片方の人がハンマーを持って半鐘を撃ち鳴らしました。


 カンカンカンカン


 その後梯子を使い下に下りてきましたので一緒に海賊達の家に向かいます。


 海に面した一番大きな家で、パラパラと集まり出しているようです。


「集合の半鐘が鳴ったが何事だ?」

「どこかがこの島に攻めてきたのか?」

「いやいやこの島は見付かってないと言っていたぞ、どこかの島は見付かったから島を変えるって」

「それ俺も聞いた!」


 おお! 皆さん一気に喋ると誰が何を言ったのかさっぱりですよ。


「みんな! 静かにしてくれ! 今ここにいる少年が海賊達を気絶させたそうだ。現に今奴らは家から出てきていないだろう。そうだ。少年何か一言もらえるかな」


 うんうん。


「はい。初めまして皆さん。こんにちは。この後ですが、一度サーバル男爵領に行ってから皆さんの元の町や村に帰ってもらうことになると思います。えっと、皆さんは拘束はされてないのですね?」


 良く見ると誰一人ここまで外してきた鉄の腕輪をしていません。


「ああ。ここの島にいるものはもう何年も攫われてから海賊達といて、一度も脱走などをしなかった者達だからな腕輪は免除されているだけだ」


 えっと何故逃げないのでしょうか?


「いや、恥ずかしいのだが、ここにいる者達はだな、泳げない者達ばかりなんだ······」


「えっと、それは······し、仕方がないですよね♪ あは、あは、あははは」


 僕もこの前テラに教わるまで泳いだ事無かったですし、泳げる場所が近くに無ければ泳げない人も沢山いてもおかしくありませんしね。


 じゃあまずは送ってしまってからこの島を綺麗にしてしまいましょう。


 そして海賊達と併せてサーバル男爵領に転移したのですが、三島を終わらせてからにしようと思っていたバーベキューの時間になり、バーベキューが終わってから二島目を終わらせて、三島目に行くことにしました。


 パッ


「なんとまあ、この者達が捕らわれていたと? いったいこれは何人いるのだ?」


 その声を発したのは、母さんの転移でやって来た王様。


「あっ、王様いらっしゃいませ♪ 来てくれたのですね。えっと今何人でしたっけ?」


「百十五人よ二島でね。三島目は五十人いるみたいだし。それと今のところ海賊は百八人ね」


 テラがちゃんと数えていてくれたようです。


「ふむ。三島目は五十近くいると聞いたが、それほどの者が······それからラビリンス王国に連れていかれた者も併せれば二百を超えそうな勢いだな、······よしこの者達の滞在費、故郷への旅費も含めて私が出す。宰相記録しておけ。サーバル男爵、手配は任せても良いか?」


 王様は一緒に来ていた宰相さんにそう言うと、懐から出した紙束に記録しています。


「はい。カヤッツ、皆さんの向かう町や村を聞いてまとめておいてくれるか?」


「はい。すでに今到着した十五人以外はすでにまとめてあります」


 おお。流石カヤッツです。しっかり跪き頭を垂れたまま答えます。


 もちろん他のみんなも、僕とプシュケもちゃんと跪いていますからね。


「なんだサーバル男爵。良い部下に恵まれているな」


「ええ。いつも助けになってくれていますよ」


「ねえあなた。マシューが用意をやりたそうですよ。うふふ」


 あっ、マシューやメイドさん達も手に持つものを地面に落とさないようちょっとやりにくそうに跪いています。


「王様。食事の用意がととのいそうですので立たせてもよろしいか?」


「うむ、この皆の分だ、早速準備してくれ」


「ありがとうございます。マシュー、バーベキューを開始してくれ」


「はい。もう火も良い感じですからすぐに食べられますよ♪ おいみんな、各自始めてくれ」


「「はい!はい♪」」



 そうして始まったバーベキューは、途中で三匹のオークを追加、それもあっという間にみんなのお腹に消えていきました。


 途中で僕が作った醤油を持って出すとみんなが殺到して一樽の醤油が無くなるほどでした。


 もちろん王様も、気に入ったようで途中からメイドさんの手を借りず、自ら肉を焼き出し、醤油を付けて二度焼きするほどでした。


 では満足しましたから二島目をお掃除して最後の島に向かいましょう♪

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