第11話 怒ることもあります
「あふあぁぁ、あれ、そっか、ティと一緒に寝たのでしたね」
ティは僕のおなかに足を乗せ、お布団は抱き込んで僕のお布団が持っていかれてます。
足をそっと下ろして、お布団を掛け直し、寝直しました。
次に目が覚めると、上下逆になって、大の字、うぷぷ。
ムルムルベッドではテラも大の字です。
「あははは、寝相が中々激しいね、そうだ、おなか冷やさないように作った冬用だけど腹巻きしてあげよう」
収納からお手製腹巻きを出して、ティの足を真っ直ぐに戻し、足から腹巻きを通します。お尻の通過は僕がやって貰った時のように、横に返して、ずり上げ、逆向きにしてずり上げて完成です。
「こんなところで動けなかった前世の記憶が役に立つなんてね、ゴブリン村長柄は女の子には受けなかった、ってフィーアにだけど、角うさぎ柄なら良いですよね」
お布団を掛け直し、ふあぁぁ、もう少し寝ましょう。
早朝から起き出し、薄明かるくなった頃、僕達は出発し一番近い街を目指します。
ティの着替えに手こずりましたが、腹巻きも気に入ってくれましたし、良かったです。
二時間ごとに馬を休めながら夕方、まだなんとか遠くの山に日が沈む前に到着しましたラビリンス王国手前の国境の街に。
入門まで二時間ほど並びましたが、問題なく入門出来きました。
盗賊を引き渡すため、衛兵の詰め所にお兄さん達の先導で、大通りを五台の馬車を連ねて向かいます。
冒険者ギルドが有ることを確認して、その隣が衛兵の詰め所です、これは悪さ出来ないので、冒険者ギルドでの絡まれテンプレートは持ち越しかと少し残念に思いながら、詰め所横の門からは入り、敷地内に馬車を止めました。
「君達、ここはこの街の衛兵の詰め所だが、なんのご用かな」
門横に立っていた四名の衛兵さんの内二名、僕達が横並びに停めた馬車にやって来ました。
「ああ、盗賊を捕まえたんでな、引き渡しだ、誰に話を持っていけば良いのかな?」
「おお! そう言う事か、うむ、お手柄だな、私が、この時間の責任者なので、その対応しよう」
おっと、いきなり偉い人に会えましたね、これは早く話が進みそうです。
「助かる、この馬車に詰め込んである、見てくれるか」
僕達は馬車を降り、盗賊を詰め込んだ馬車前に集まり、衛兵さんも追加して貰って出口を包囲した後、鍵を開けます。
お兄さんが戸を開ける様で、戸を慎重に開けました。
飛び出して来る者もいませんし覗いて見て、きちんと壁に縛り付けられたままの様子です。
「大丈夫そうだな、確認して貰えるか?」
「ああ、よし、鑑定!」
鑑定で責任者さんは称号を、確認するみたいです。
「ふむ、間違いないな、それに懸賞金が着いている奴等が二名居るな、後の奴等は確認してみないと分からないが」
「そうなのか? 眠り薬を使い、人攫いをしている奴等だからか?」
「うむ、被害件数が多くてな、次ぎ国境を越える前には確実に捕らえよと衛兵のみならず、冒険者ギルドにも依頼が出ている筈だ、事後でも報酬が受け取れるのでな、羨ましい、あははは、だが人数的に二名足りないが、逃がしたか?」
あっ!
「あの、すいません、遺体は僕が収納してあります、出しますので、場所を指定してくれますか?」
ヤバいヤバい、完全に忘れてました。
「おお、ではこの場に出して貰えるか、一応鑑定で見てみないとな」
「はい」
馬車に引かれた二体の男性を地面に取り出しました。
「うむ、鑑定! よし、間違いない、あははは、君達のパーティーは優秀だな、よし、懸賞金と引き取りの金を渡そう」
そうして僕達は盗賊を引渡し懸賞金、金貨五枚、と引き取り金、大銀貨三枚をもらい、馬車もここで買い取ってくれるとの事で金貨三枚と大銀貨八枚、銀貨九枚になりました。
「あははは、いきなり大金持ちだな、冒険者ギルドにはこの捕獲完了の書類を見せれば金貨一枚だ、絡まれないようにな、あははははは」
おお! 絡まれテンプレの目が残っているのですか! にゅふふふ、楽しみですね。
「ライ君、俺達はここでお別れだな、本当に助かったよ」
「いえいえ、お兄さん達が居なかったら、全員は捕まえられなかったですから、こちらこそ助かりました」
「あははは、そう言ってくれるとなんだか俺達も嬉しいよ、俺達は王都に帰るから、来た時には、俺達が逆に飯を奢るからな、絶対来いよ」
「はい、ティを送った後になると思いますが、その時はよろしくお願いします」
皆は笑顔で、馬車に乗り込み、詰め所を出ていきました、僕とティは冒険者ギルドに行きますので、馬車を置かせてもらい、隣まで歩いて行くことにしました。
「ライ、私も冒険者の登録をしてみたいのですが、出来るのでしょうか?」
ティは僕と横並びで歩きそんな事を聞いてきます。
「出来るよ、じゃあ今から報酬貰うついでに登録しようか」
「はい♪ お願いしますわ、テラ師匠に結界魔法を習いますから、ただの令嬢ではなく、冒険者の肩書きが良いと思いましたの」
「ライ、私も♪」
「「
テラは、出来るのでしょうか?
「ん~、一応聞いてみるか、ムルムルも従魔としてなら登録出来るし、パーティーを組もうか」
「「
ぷるぷる
テラはムルムルから僕のほっぺに飛び付きティは左腕に腕を絡ませ、ムルムルは頭上にみにょ~んっと移動しぷるぷる。
「あははは、ほらほら歩きにくいし、テラも落っこちちゃうよ」
その状態で冒険者ギルドに入り受け付けを目指します。夕方なので、買い取り目当ての冒険者達が賑わっています。
僕達は受付ですから誰も並んでおらず、受け付けに進むことが出来ました。
「こんにちは、これお願いします」
受け付けのおじさんに衛兵さんに貰った証明書を見せます。
「拝見しますね」
おじさんは書類に目を通し、僕達を見て疑いの目を向けてきました。
「ふむ、これは本物かな、もし偽物ならこの隣は衛兵の詰め所だが」
「はい、隣で書いて貰いましたし、盗賊達も引き渡してきましたよ、あっ、もしかして、盗賊を捕まえた全員で来ないと駄目なのですか? それならどうしましょう、別々に分かれてしまっていますからすぐには集まりません」
おじさんは、奥の職員になにやら合図を送ると、職員のお姉さんが慌ててギルドを出ていきました。
「なぁ坊主、これは犯罪だ、今衛兵を呼んだから諦めるんだな、奴隷になって鉱山行きだ」
「ん? どうしてなのでしょうか? 僕は何を悪いことしたのですか?」
「そうですわよね、私にも理解出来ませんわ? おじ様、私達はどの様な罪を犯してしまったのですか?」
「それはな」
おじさんが理由を言ってくれそうな時にギルドにけたたましく入って来たのは先ほどまで話をしていた責任者さんと衛兵さんが五名、こちらに向かって走ってきたのですが。
「ギルドマスター、犯罪者は!」
「おお、隊長さんが来てくれましたか、この坊主達だ、世間を騒がす盗賊を捕まえたと偽物の書類まで作り、隣で書いて貰ったなどと、Aランクのパーティーでさえ見付けられていない盗賊を、こんな坊主達が見付け、捕まえられる筈がない」
「ライ君、災難だったな、あはは」
おじさん、ギルドマスターさんの話を聞いて理解出来ました、それに責任者さんは隊長さんだったのですね、隊長さんも困り顔で苦笑いしながら僕に話しかけてきました。
「へ? 隊長さん? この坊主達が本当に捕まえたのですか?」
ギルドマスターさんは、隊長さんに呆けた顔で問い質していますが。
「本当だ、私がこの目で確認をしたからな、ほらほらさっさと報酬を」
「は、はい! 少々お待ち下さい!」
ギルドマスターさん、大慌てで金貨を自分の収納から取り出し、隊長さんへ渡そうとしたのでちょっとムカついてしまいました。
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