やっぱりデートはゲーセンだよね
「先輩次はどこに行くんですか?」
「ん~?えー分かんないの~?ウチらが二人でこの地域で遊ぶって言ったら、ねぇ?」
「あはは、確かにそうですね。それじゃ行きますか!俺達の聖地に!!」
*
耳の奥まで響く心地の良い騒音。学生などの若い年齢層が集うこの場所に意気揚々と入っていく湊月と夏音は、お互いに視線を交わして図らずも段々と口端が上がってしまう。
「ふぅー!!やっぱここ来るとテンションが上がっちゃうね~!」
「ですね!ワクワクが止まらないですもん!!」
「も~みっつんは子供だなぁ~」
「じゃあ先輩はワクワクしないんですか?」
「超ワクワクしてる!!!」
目を輝かせながらはしゃぐ二人。
今夏音と湊月が訪れているのは、フロアによって設置されているゲームの種類が違う為五階層に分かれている都内最大級のゲームセンターである。
コインゲームや音ゲーの種類が豊富なのはもちろんのこと、スロットや昔ながらのレトロゲームなどが圧巻の台数並べられている。
「何度も来てるのに、毎回新鮮味を感じるのほんと不思議ですね」
「それなー!ここに入る時の心臓の高鳴りは、初めて来た時と全然変わんないもん!」
「初めて来た時、ですか。そこまで昔の事じゃないのに、すっごく懐かしいような出来事みたいに感じます」
「えっとー、ウチが中二の時だから……大体四年前くらい?」
「え、そんなに時間経ってるんですか!?」
「経ってるよー!ほんとに時間経つの早すぎ!みっつん早くウチを貰ってくれないと、すぐおばあちゃんになっちゃうよ?」
「う……先輩結構急に突っ込んできますね……」
「あはは!ねぇあの時の事覚えてる~?ウチら初対面なのに、みっつんが急にゲームセンター行ってみませんかって荒々しく強引に腕を引っ張っていったの」
「いや多少強引だったのは認めますけど、荒々しくは無かったでしょ……」
「え~?でも男らしくリードしてくれて素敵だったけどな~?今じゃ女の子に引っ張っていかれてる湊月君だけど……」
「っ!あーもう!ほら早く行きましょ!!やりたいゲームいっぱいあるんですから!」
そう言って、夏音の左手を自身の右手で包み込んだ湊月。
「はぅ!?…………うん」
その突飛な行動に、夏音は最初こそ驚いたものの、真っ赤になった顔を隠すように俯きがちでこくりと頷いた。
*
「やっぱゲーセンと言ったらこれだよね~!!」
「ふぅ……手加減はできませんよ夏音先輩!!今日こそは俺が勝ち越しますからね!」
「五十二勝五十二敗……絶対に勝つ!!」
とんでもないハイテンションで一階から順に遊び回った二人。元々様々なゲームを嗜む二人は、音ゲーやコインゲーム、アーケードの麻雀など多種多様な種類のゲームで対戦しながら広大なゲームセンターの敷地を巡り回った。
夏音は音ゲーが得意なのに対して、湊月は麻雀などの頭脳ゲームが得意である為、一概にどちらの方がゲームの腕が高いのかを測る事はできないのだが、それでもやはりゲームセンスで優劣をはっきりとさせたい勝負師肌なのがゲーマーの
そこで二人がやって来たのが、二人とも自信があって未だに勝敗が五分五分である、アーケード版シューティングゲーム『キルショット』だ。
ゲーム機に搭載されているハンドガンの模型で敵を撃ち、足元に設置されている二つのペダルと三百六十度にフリックできるコントローラーで移動、その他様々なボタンで各種操作をするゲームで、敵を
二人が初めてここに訪れた時は、このゲームの第一型だったのだが、今では第六型にアップデートしている。
「さぁやりますか!!今日の俺はエイムが化け物な気がしてますよ!」
「え~?ウチにはみっつんの銃口が
「そんな軽口を叩けるのも今のうちですからね?これが終わる頃には、『みっつん!もう一戦!もう一戦だけ!!』って、俺に泣きついてる姿が想像できますよ!」
「ふ~ん?そんなに自信あるんだ~?」
「えぇ!!来る前にエペでエイムが最高に良かったので、今日は調子良い日ですもん!!」
「アーケード関係なくて草。ならさー、罰ゲーム設けよ?」
「罰ゲームですか?望むところですよ!!」
「じゃ~あ~、負けた方は勝った方の言う事を一つ聞く!ってのはどう?」
「言う事を一つ!?……ゴクリ。何でも、ですか?」
「うん!何でも一つ!エッチな事でも良いよん」
そう言って、スカートの裾を軽く捲り、白い太ももを湊月に見せる。
「なっ!?そ、そんな事はお願いしませんから!!」
「え~?ウチは別に良いんだけどな~?むしろ少しご褒美というか」
「そうやって俺の集中力を低下させる作戦ですか!?もう早くやりましょうよ!!」
「……ヤりましょう?」
「頭の中真っぴんくじゃないですか!勝手に文字変換しないでください!!」
「あははは!やっぱみっつんは可愛いな~」
「もう……からかわないでくださいよ……」
「ごめんごめん。そんじゃやろっか!ぼっこぼこにしてやるんだから!」
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