モヤモヤ『自分の好き』がわからない!

中学生になって一変した、と前回私は言った。


だが、それは半分嘘だ。

本当は、小学六年生くらいから、なんとな~く周囲とのズレは気づいていた。


みんなはゲームや漫画の話から、アイドルの話をするようになっていた。

そう、ちょっと色気づき始めていた。いや、悪い意味ではなく。


みんなと同じような変化をできなかった私は、中学生になってもゲームが好きなまま、漫画が好きなまま、絵を描くのが好きなままだった。


だから、美術部に入った。


そこでは同じようにゲームも漫画も好きな友人が新しくできて、私の『オタク』は継続となった。



部活の友人に好きな漫画を聞くと、これまで知らない漫画と出会えた。

同じく、好きなゲームを聞くと、知らないゲームに出会った。

同じく、好きな曲を聴くと、知らない曲と出会った。


そうして、私はよく家で聴いていたTHE BOOMを友人に教えた。一緒になって盛り上がってくれて、カラオケが近くにできたから行こうとなっても、それぞれがそれぞれに好きな曲を歌って、それで楽しかった。



あるとき、別の友人に、

「この曲が好きなんだ」

と、流行り曲を紹介された。

こんなことは初めてだったので、借りたCDを大切に家で聴いていた。すると、姉が言った。


「こんな浮かれた曲聴いているの?」


と、まぁ……『その曲は悪』だと言いたげに、それはそれはボロボロに言われたのを今でも思い出せる。


「ありがとう」

と言って友人には返したが、私の気持ちは申し訳なさでいっぱいだった。


そうして、『自分の好きなアーティスト』がいる友人たちを、とても羨ましく思った。

私の聴いていた曲は、これまで兄と姉の受け売りだけだったからだ。自分は空っぽな気がした。



そうして、私は初めてCDを買ってみる。

鈴木雅彦さんの「アダムな夜」


……うん、中学生にしては、何とも渋い。


この曲は父と一緒に楽しく見ていたドラマの主題歌で、自キャラに合うな! と思った曲で、何より、ラッツ&スター好きな姉に文句を言われることが無い! と確信したからだと思う。


まぁ、これからの私はゲーム曲のCDを色々と買い漁ったんですどけね。

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