第40話 あれから


「・・・大地君・・・」


「・・・照・・・」


 大地と照は彼の自宅のベッドで寝転がって抱き合っていた。


 照は大地の身体に両腕を回していた。


 一方、大地はそれを受け入れ、照の頭を優しく撫でていた。


「それ、気持ちいいです。・・もっとやってください」


 照はばふっと大地の胸に顔を埋めた。


「ああ!照が満足するまでやるよ」


 大地は言葉通り彼女の頭を撫で続けた。


 照は彼の手に反応するように気持ちよさそうな顔をした。


「もう・・・離れたくないです。本当に」


 照はぐっと腕に力を込めた。


 その結果、大地は彼女から自身に対する気持ちが盛大に伝わった。


 それからどれくらいの時が経っただろうか。その証拠に外は真っ暗になっていた。


「そろそろ帰りますね。時間も時間ですし」


 照は上目遣いでにこっと笑顔を浮かべた。


 その表情が大地のハートを完全に射抜いた。


「ちょっと待って・・」


 大地は言葉で制止するなり、強引に照をうつ伏せの体勢にした。もちろん、乱暴に彼女を扱ってはいない。


「ど、どうしたんですか?」


 照は目を瞬かせ、当惑した様子だった。


 だが、大地は返答せず、照の上に軽く乗った。それから流れるように彼女の頬に手を当てた。


「ごめん。・・・我慢できないよ。照が愛おしすぎるよ」


 大地は目を瞑り、口を半開きにキープしたまま、照の顔に自身の顔を近づけた。


 徐々に彼らの距離が縮まる。


 照も彼の気持ちを汲み取り、全部を委ねるように目を閉じ、唇をわずかに突き出した。


 チュッ。


 大地と照の唇が初めて合わさった。彼の唇に温かくトゥルッとした感触が生まれた。


 大地は唇の柔らかさと幸福感をじっくり堪能しながらようやく照の唇を解放した。


 視界は明瞭化し、心臓の音がバクバクと鳴り止まない。


 照はブラウスにロングスカートで髪がベッドの上で乱れて寝転がっていた。なぜか、それだけなのに彼女が色っぽく見えた。


「大地君。も、もう1回お願いします。き、気持ちよかったから・・・」


 照は目をとろんっとさせ、口元からほんの少しよだれを垂らしていた。うっとりとしたメスの顔をしていた。


 大地は頷き、本能に導かれて、再び照と唇を重ねた。


「んっ」


 照は感じたようなエロい吐息を漏らした。


 そのせいで漏れ出た吐息がやんわりと大地の唇や鼻をくすぐった。

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