第17話 まだ続いていた


 時刻は午後10時。場所は公香の自宅のリビング。


 公香は大地の腕に抱きつきながら、共にベッドに向かっていた。


「あの~。俺って、いつまで笠井さんの自宅を尋ねて、隣で寝ればいいのかな?」


 大地は公香の弾力がある双丘が衝突しているため、それに気を取られながらも、ここ最近において感じていた疑問を率直に投げ掛けた。


 そう。大地が公香の自宅に足を運んだのは1回だけではない。今回で10回目なのだ。


 あれから、公香は頻繁に時岡に襲われたシーンを思い出してしまったために、大地を自身の自宅に電話で呼び出した。ちなみに、彼らは電話番号を交換していなかったが、SNSで連絡先を交換していた。そのため、公香はSNSに設けられた電話機能を用いて大地に連絡したのが事実である。


「それは・・・」


 公香は大地にそのように聞かれるなり、自身の動作は止めずに、頬を赤めながら俯いてしまった。


「それは?」


 大地は公香の普段見せない行動に多少なりとも怪訝に思い、無意識にオウム返しをしてしまった。


「私があの出来事を忘れられるまでは・・・ダメかな?」


 公香は瞳を潤ませながら、上目遣いで大地を見つめた。彼女の瞳は決して大地を捉えて放さなかった。


『うっ。かわいい!?』


 大地はきれいな顔立ちをした公香に弱々しい姿を見せられ、胸中で強烈な愛おしさを感じつつ、自分が守らなければならないといった保護欲も内から湧き出た。


「う、うん。わかった。笠井さんが大丈夫と思うまで、遠慮なしに頼って。俺は可能な限り、要望に応えるから!」


 男性の本能がそうさせたのか。大地は脳内で良く考えずに了承の意思表示を示していた。


「もし、呼んで何かの事情で来れなかったら、私が森本君の自宅を訪問して、一緒に寝るから。そうしないと、寝れないから・・・」


 公香はころんっと優しくベッドに寝転がった。


「え!?それって、笠井さんが俺の家に来るってことだよね?それに、俺の家の場所知ってるの?」


 大地は公香の衝撃的な発言に対して敏感に反応し、敢えて言葉を投げ掛けて彼女の意図を探ろうとした。


「そ、それはわからないよ。でも、気合いで発見する。近所の人や大学の同級生に色々聞いてね」


 公香は大地が恋しいのか、ちょいちょいっと手招きをした後、ベッドをポンポンっと軽く叩いた。


「ええっ!?それは危険だよ。もし、俺の家に行きたい欲求が抑えられない場合は、SNSを介して連絡して!場所は位置情報を送って教えるからさ!!」


 大地は公香が心配になり、そう勧めるなり、彼女の要望を汲み取り、ベッドに寝転がった。


「まぁ。いつそうするかはわからないけど」


「ん?なんか言った?」


 大地は公香がつぶやいた内容が聞き取れなかったため、その内容を把握するために敢えて聞き返した。


「ううん。なんでもないよ」


 公香は満面の笑みを浮かべ、うやむやにするなり、大地の左腕に勢いよく抱きついた。


 その刹那、公香の柔らかい塊が容赦なしで大地の理性を削った。

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