第11話 次の掃除の同僚


 大地は昼食を完食し、食堂を退出した。


 それから、今日は午前で講義が終了したため、いつもと同じ正門に向かった。


「森本先輩!」


 大地が正門に差し掛かった辺りで後方から何者かに声を掛けられた。


 大地は誰だと思い!目を細め、訝しみながら、振り返った。


 すると、その結果、彼の視界に上下濃いブラウンのジャケットとジーンズを身に纏ったキリッとした女子大生の姿が映った。


 その女子大生特徴としては紺色のロングヘアに、キリッとしたような凛としたような紺色の瞳、高い鼻に、女性にしては厚い唇があった。


「・・・青木さん」


 大地はぼそっと大学生の名字を呟いた。


 彼女の名前は青木 光(あおき ひかる)。


 光は大地と同じ山西大学の学生であり、年は彼より1つ下である。


「私のこと覚えててくれたんですね。光栄です」


 光は平坦な胸の前で両腕をクロスさせた。


「いきなりですけど、どうして掃除のアルバイト辞めたんですか?」


 光は問い詰めるような口調で大地にそう尋ねた。


 大地は内心で『またか』と感じながら、公香のときと同様の答えを返した。


「・・・そうですか。そんな理由があったんですか」


 光は言葉では納得しながらも、表面上では全く納得していないように思えた。


「そうだよ」


 大地は早く話を終わらせるために、適当に軽い相槌を打った。


「・・・そうですか。わかりました。先輩のお時間をお取りしてしまい、すいませんでした」


 光はぺこりっと頭を下げるなり、どこかの目的地に向かって大地の目の前から去って行ってしまった。

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