第7話 その後
「大丈夫?笠井さん!」
大地は時岡が無様に去るのを最後まで見届けた後、地面にへたっと倒れ込む公香に駆け寄った。
「・・・」
公香から応答はなかった。彼女は呆然と力が抜けたような顔をキープしていた。
「よ、よかった」
公香は小刻みに震えながらも、起き上がろうと試みたが、それは叶わなかった。
おそらく、恐怖で足がすくんでしまったのだろう。
「わわっ。た、大変!立てなくなってるよ!?」
大地は慌てながら、脳を回転させ、この場の状況を好転させる方法を探った。
頭を働かせて数秒後、大地の脳内にあるアイディアが生まれた。
「よし!これにしよう!!」
大地はいきなり声を出すなり、公香の肩に手を置いた。そして。
「俺がしゃがむから、俺におんぶされて。気乗りはしないかもしれないけど、そうすれば笠井さんの自宅まで遅れるから」
大地はとんでもない提案をしていた。
なぜなら、彼氏彼女の関係でない男女がおんぶをするなど普通ありえないためだ。
しかし、そこまで頭が回らなかったのか。大地は何の恥ずかしさも覚えずに、さらっとそう提案した。
一方、公香は逡巡した様子を披露したが、やがて自身の身体の状態を理解し、素直に首を縦に振った。
それから、大地は軽々と公香をおんぶし、目的地として彼女の自宅を設定した。
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