背中を押す理由 告白
仲仁へび(旧:離久)
第1話
ある日。
「どどどっ、どうしよう、先輩に告白する勇気が出ない」
そんな風に友人が相談してきた。
初めて決意した、みたいにてんぱってるけど。
もう慣れた。
三日前も確か、同じ事言ってなかったっけ?
まだ告白してなかったんだ。
私はあきれてため息をついた。
「私が影で見守っててあげるから、さっさとふられちゃいなよ」
友人は「だって」とか「でも」とかばかりいって、もじもじしている。
そんなんだから、ずっとケリをつけられないでいるのよ。
先輩が三年生になって、卒業する前に告白したい、と彼女が考えだしたのは半年前。
それから、あれこれ計画を立てたり、方法を考えたりしていた。
それで、普通に言葉で伝えるのがいいという結論が出たのが一週間前。
告白を決意したのが三日前。
そうやって悩む暇があったら、すぱっと告白して、すぱっとふられて、次にいけばいいのに。
まあ、考え方の違いと言うやつなのだろう。
私はそこら辺ドライなのだが、彼女は違う様だし。
一人一人の人間との関係を大事にしている事は、普段の様子を見ても分かることだ。
誰かの誕生日や、特別な日を覚えているし、誰かの身に困った事があったら人の事をよく心配している。
私は、なおももじもじする彼女の手を引いて先輩のいるクラスへ。
丁度、そのクラスに先輩がいたので、私は彼女の背中を押しだした。
「ほら、言ってきなって。話があるんです。ってさ」
「ううっ」
そうやって、恥ずかしがる友人はクラスの中に入っていくが。
世間話をしただけで帰ってきてしまったようだ。
「ごめん」
「はぁ~っ、まったく」
大きなため息をついてしまう。
私はあと何度、この子の背中を押す事になるのやら。
背中を押す理由 告白 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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