第3話 先生とカフェ
「え、先生……なんで福田先生が!?」
ママ活相手との待ち合わせ、少しだけ高鳴っていた僕に飛び込んできたのは帽子とサングラスで変装はしてるけど、でも部活の顧問でみんなのアイドル福田先生で……え、何で!? なんで先生が居るんですか!?
「岡島君! 岡島君じゃないか、やっぱり! ふふふ、さくせ……こほん。と、とにかくここはまずい! こんな場面見られるのはまずいよ、一旦避難しよう! 避難だ避難! ちょっとこっちに来て!」
「え、いや、その……ええ!?」
困惑する僕をよそに、どこか冷静な先生は僕の手首をギュッと握ってそのままどこかへ引きずっていく。え、何ですかナンデスカ!?
「え、ちょ、先生、その……」
「しー、黙ってて岡島君! ダメだよ、今は私に身を委ねて!」
「え、あ、はい……わ、わかりました」
ぐるぐる頭は混乱して、色々わけわかんない考えが頭を駆け巡る。
なんで先生がいるのか、先生だったらあの会話は納得、でもあの先生がなんでママ活なんて……色々頭を駆け巡って、めちゃくちゃぐちゃぐちゃになって、こんがらがって全然頭がまとまらなくて。
「大丈夫、岡島君! 大丈夫だよ、大丈夫!」
「……はい」
だから一旦自信満々の先生に身を委ねることにした。
……何が大丈夫なのかはさっぱりわからないけど。
こんな表情をしている先生は大体空回りして、ダリア先生とか中竹先生に助けを求めるのが定番だけど。
「うへへ、休日に拓海君と……やっぱり正解」
でも今のぐちゃぐちゃ頭では、今のこの状況ではそれ以外の選択肢が見つからないから。これ以外に上手くすり抜ける方法が……だから一旦、先生に身を委ねた。
☆
「はい、それじゃあ特製パフェ二つ! いつもので!」
「かしこまりました~、いつもご来店ありがとうございます~!」
どこか混乱した頭のまま、ふんすふんすと鼻息を鳴らす先生に連れてこられたのはどこかオシャレな雰囲気漂う甘い匂いのカフェ。
ずんずんと我が物顔で奥の席に向かった先生は、そのまま僕の対岸に座ると慣れた手つきで注文を終えて……え、えっと、そのぉ……
「あ、あの、先生……?」
「ん、どうしたの岡島君? あ、注文聞こえなかったこと? 大丈夫だよ、ここのパフェは美味しいから! だから大丈夫、先生信じて!」
「そう言う事じゃなくてですね……」
「あ、もしかしていちご苦手? 大丈夫、先生はいちご好きだから! もし苦手なんだったら岡島君が好きなほかのフルーツと交換しようね!」
「いや、その」
「あとねあとね! ここのミックスジュースが本当に美味しいんだよ! パフェにもすっごくよく合うし、甘くて最高なの!」
「あ、いや」
「あー、岡島君今もしかしてそんな甘いものばっかりだと太るって言おうとしたでしょ? レディーに対してそういうのダメだぞ!」
「だ、だから」
「そ・れ・に! 先生はまだ20代だから甘いもの食べても問題ないのであーる! えへへ~、岡島君たちには劣るけど、先生もまだまだ若いからね!」
……何だこの暴走列車。
全然止まってくれないじゃん、ずっとしゃべってる。
それにずっと目がキラキラしてるし、話し方もいつもと違うし……なんでこんなテンション高いんだ、この人?
「ふふ~ん、甘いものは食べれるうちに食べとかないとね! 年齢言ったら食べれないって……って岡島君? 話聞いてる?」
「……え?」
「あ~、聞いてなかったでしょ! ダメだよ、ちゃんと話しは聞かないと!」
いたずらに片目を閉じながら、先生が注意するためか僕の方に体をぐっと寄せる。
相変わらずものすごい美人で、それにスタイルも……って違う違う。ほだされちゃだめだ、聞くこと聞かないと。
「ふふふっ、まぁ今日は学校じゃないから先生もあまあまだから許してあげる! だって、今日はプライベートだから!」
「あ、あの先生」
「ん~? どうしたの、岡島君?」
「あ、あの何でいるんですか? 何で先生が?」
そうだよ、これがずっと聞きたかったんだ。
やっと話聞いてくれた、良かった……いや、先生がいる時点で多分よくはないんだろうけど。
そんな風に考えてる僕に、にやっと笑みを浮かべながら
「それはこっちのセリフだよー。岡島君、なんで君こんなことしてるのかな?」
と言ってスマホを取り出す先生。
そこにはママ活サイトで昨日やり取りした女の人の名前と、僕とのトーク履歴が載っていて……
「……ごめんなさい!!!」
うん、謝ることしかできない。
こんなもん謝罪以外の何もできんわ、百僕が悪いもん。ちょっとだけ偶然とかそういう事も期待してたけど、まぁママ活の話だよな、僕が悪すぎるもんな。
ていうか先生がやり取りした人だと考えると全部しっくりくる、だって僕の趣味とか大体知ってるもん。競馬だってたまに一緒に見てたし、それ以外も……気づけよ、そんな都合いい相手いないって。
全力謝罪安定です、本当にごめんなさいです。マジで退学とかは勘弁してください、さくらと一緒にいたいです、マジで。
そう言いながらテーブルに頭をこすりつけていると、頭の上から優しい笑い声が聞こえる。
「ふふふっ、そんなに謝らなくていいよ。男の子だったらこういうの興味あるだろうし、好きだもんね。まぁ、ちょっとエッチなサイトなのはいただけないけど、岡島君まだ17歳だし」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」
「もう、そんなに謝らなくていいって。それに今回は私が初めに気づいて岡島君がエッチなお姉さんとエッチなことするのを防げたわけだし? 今回だけは大目に見てあげるよ、先生誰にも言いません! 次から気を付けてね、エッチなお姉さんに」
「ごめんなさい、本当にありがとうございます……ち、ちなみにいつ気づきました?」
「教室でさくらちゃんと話してるときに! 二人の喧嘩、最初からずっと聞いてました!」
「……止めてくださいよ、その場で」
その場で止めていただければこんなことならなかったのに!
なんでここまで行くんですか、ちゃんと危険を身をもって的な……ていうかエッチを連呼するのはやめてください、ちょっと変な気分なりますから!
「まぁ、本当に先生が先に気づけて良かったよ、岡島君がエッチなことに巻き込まれる前に」
「……はい、そうですね、多分。ありがとうご」
「でも、悪いことしたんだし、ちょっと罰は受けてもらうよ。普通にこんなサイトに登録するのダメだからね、ちょっとおしおきだよ」
「はい、わかってます。どんな罰でも大丈夫です、受け入れます」
さくらと同じ学校に行けなくなるのいやだし、絶対。ていうか今になって死ぬほど桜に対して罪悪感沸いてきたな、ごめんよさくら。
もう僕は浮気しない、さくら一筋浮気なんて
「じゃあ~、今日一日先生とデートして」
「……へ?」
☆
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