騒音トラブル
騒音トラブル
深夜2時を回ると、近所の犬がいつも吠え始める。うるさくて仕方がない。だから、私は机の上に置いてあった耳栓を耳にはめ、ブランケットを頭まで被った。
「ワンワン、ワンワン」
まだうるさい。1週間前に、ポストに匿名で手紙を入れたのだが、静かになる気配は全くなかった。はぁ、直接注意しに行くか。私は部屋着からいつもの服に着替えると、家を出た。そして、犬を飼っている家に着くと、インターホンを押した。出ない。もう1度押す。しかし、誰も出てこなかった。きっと、犬の鳴き声のせいでこの家の住人全員が難聴になってしまったのだろう。どうしようか。そう思っていると、私は突然あることを思い出し、犬小屋にいる犬と一緒にある場所へと向かった。犬は、歩いている間は吠えることなく、大人しかった。そして、15分ほど経つと、目的地に到着した。そこは、私の友人のアパートである。ドンドンとドアを叩くと、友人は眠たげに目をこすりながらドアを開けた。
「ん〜?眠いんだけど、こんな時間に何の用?」
「この犬、あげるよ。道で迷子になっている所を見つけたんだけど、うちのアパートじゃ飼えないから」
「えっ、嬉しい」
「でも、ペット用には向かないかな。夜中にしょっちゅう吠えるし……」
「うん、わかった。ありがとね。わざわざ私のために」
「そんなことないよ。でも、バレるといろいろ面倒だからきちんと処理してね」
「うん。絶対に証拠は残さないよ」
「じゃあね、バイバイ」
「おやすみ〜」
ドアが閉まると、私は大きく深呼吸した。これで誰にも邪魔されず安眠できる。私は嬉しくて鼻歌を歌いながら、スキップして帰路に着いた。
騒音トラブル @hanashiro_himeka
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