Tokyo Cakeへの応援コメント
なんと、こちらを見落としておりました。
(ガチ怖いホラーは読むのを諦めました)
冒頭から、土砂降りの中、はぐれた妹を探しているあたりから、ああ、この妹はこの世にはもういないのだろうな、と思っていました。
そんな寂しい気配が漂っていました。
ただその実感のなさが、ずっと主人公に妹の幻を見させ、その幻に触れようとして、また幻の中を彷徨う。その繰り返しなのかな、と。
辿り着いた、「東京ケーキ」の屋台で、出逢った猫の店主。ああ、あの時の……。
そこから、間近に見た「死」を思い出す。
妹に買ってやった蝶々のピン。
段々と妹の「死」を現実として受け入れられ、やっと本当に涙が溢れたのでしょうね。
哀しくて、不思議で、美しいお話でした。
作者からの返信
緋雪さん、こんばんは。
こちらの作品を読んでくださり、ありがとうございます。
夏祭りって楽しげな反面、ちょっと物寂しく感じることってありませんか。
特に賑やかな夜店通りが途切れると、那智はなんだか別世界に迷い込んでしまったような錯覚に陥ることがあります。
これはそういう感覚を物語に取り入れてみたくて書いた作品でした。
また哀しむって案外難しいんですよね。
人それぞれ感情のボリュームって違うので。
そんなことも折り込みたくて。
素敵な感想をありがとうございました。
ガチホラーは捨て置いてくださいまし。
あと企画に参加していただきありがとうございます。
順番に拝読してコメントをお送りしておりますのでしばしお待ちくださいませ。
ではでは
Tokyo Cakeへの応援コメント
夏祭り企画、参加できずに残念です💦
こちらの作品は夏祭りの怪しさ、懐かしさ、不思議さが満遍なく織り込まれ、かつ物悲しい雰囲気と温かさが同居するという、稀有な佳作になっていると感じます。大人向けの童話集があれば収録するのにぴったりです。
どことなく宮沢賢治作品の趣があるのは、猫が出てくるところと(銀河鉄道の夜の猫版アニメーションが記憶に残っており……)妹想いのところが通ずるからでしょうか。
死と生の境が曖昧で、確固たる境界もなく、心の持ちようで行き来できる雰囲気も、そう感じさせます。
突然の妹の死。
埋めようもない兄の空白を、かつて助けようとして助けられなかった猫が、供えられた東京ケーキの精霊となって慰めてくれたのかなと、そんな想像をいたしました。
ファンタジィと表記したくなる、ノスタルジックな異界の表現が素敵でした。
きっと妹も、心配で彼の傍にずっといたのでしょう。
蝶は様々な文化圏で霊魂の象徴とされていますし、髪飾りの透明な美しさも、幼くして逝ってしまった妹の霊魂を象徴するかのようで、哀しいけれども美しかったです。
作者からの返信
鐘古さん、おはようございます。
返信、遅くなり申し訳ございません。
この度は拙作『東京ケーキ』を読んでいただきありがとうございます。
また宮沢賢治を引き合いに出してくださるなど、過分な評価をいただきまして恐縮でございます。
ところで実は宮沢賢治作品をあまり読んだことがありません。
「銀河鉄道の夜」と「注文の多い料理店」ぐらいでしょうか。
銀河鉄道の夜の猫版アニメーション?
そんなのがあるんですか。
観てみたいです。
あと鐘古さんがおっしゃる通り、死と生の境目をぼんやりとさせることでそれをシャボン玉の膜のように取り扱えればと考えながら書いた作品なので、そこを読み取っていただいてとても嬉しかったです。
蝶には霊魂の象徴という意味合いがあるのですね。
知りませんでした(なんたる不覚)
教えていただいて、自分の作品なのにちょっと見直してしまいました(笑)
それと『Bad Boys Symphony Ⅱ』読ませていただきました。
いつもながら機知に富んだ作品で楽しませていただきました。
コメントはしっかり文面を考えてから書きたいと思います。
改めまして拙作を読んでいただきありがとうございました。
※ またそのうち企画やりますので、よろしければお付き合いくださいませ〜
Tokyo Cakeへの応援コメント
楽しいはずの夏祭り、なぜこんなにも切ないのでしょうか。
お盆を連想するからかな?
中学生の主人公の一人称視点なはずなのに、言葉遣いや描写に年相応の主観がほとんどみられないところに、はじめ違和感を感じました。主人公がわりと冷静に自己分析しているように思えて、私も感情移入せず一歩引いて眺める感覚。
でも読み返すごとに、全編に濁流のように流れているのは悲しみという感情で、理性的にみえるのはただのコーティングなのだと思いました。
処理できないほどの大きな喪失感によって主人公の心が切り離されてしまったのだと気づいてからは、読み返すたびに感情が溢れてきて、胸を締め付けました。
(解釈違いなことを言っていたらすみません)
分解した主人公の心を繋ぎ止めたのは、ハチワレ猫であり、髪留めであり、妹との記憶。
ずっとベビーカステラと言っていた主人公が、さいごに東京ケーキという言葉を使ったのは、妹との思い出であるあの日の祭り=妹のいた過去から今日の祭り=妹のいない現在を生きることへと一歩を踏み出せた証なのかなと思いました。
これぞ那智作品の真骨頂というコメントがありましたが、雨上がりの雲間に差す光のようなこの余韻、まさにそうだと思います。
読ませていただきありがとうございました。
作者からの返信
松本さん
素敵な感想をくださりありがとうございます。
そしてここまで深く読み込んでくださったこと、感謝の気持ちでいっぱいです。
実は那智もストーリーを進めながら、中学生の心情をリアルに示すならもう少し子供っぽい表現を使った方がいいのではないかと思ってました。
実際、変えてみたのです。
けれど、どうもしっくりこない。
それをやると情景描写があやふやに滲んでしまうんです。
そこで最終的にこれは主人公の回想であると割り切って書き上げました。
なので
『処理できないほどの大きな喪失感によって主人公の心が切り離されてしまった』
との松本さんの見解に思わず、「なるほど、そうだったのか」と拍手をしたくなりました。(作者にあるまじき💦)
さらに最後の東京ケーキという言葉。
それはまさにその通りでベビーカステラという世間一般の通り名から主人公にとって特別な思い出である東京ケーキへと言葉を移行させることにより、主人公が前を向いた証であるとの思いを込めていました。
そこまで深く読み取っていただいた松本さんに那智は握手を求めたいほど感動しています。
こちらこそ丁寧に読んでいただいてありがとうございました。
Tokyo Cakeへの応援コメント
那智 風太郎 様
ずっと後を引く哀しい余韻に暫し茫然としています。
この世界観は、どこか『さくら回廊』に似た雰囲気を感じました。
これが那智様の本気であり真骨頂。唯一無二と評した独特の感性から生み出される描写力は読者を一気に非日常の世界にトリップさせます。
以前、聞いたことがあります。祭りは間釣り、なのだと。現実の日常生活で離れてしまった神と人の間を釣り合わせるための神事だ、と。
その祭りの最中、妹とはぐれた兄。
>そんなところに妹がいるものだろうか。
彼はいないと知っていた。何故なら……
なんとなく、もう既に妹はこの世にすらいないのかもしれない。そう思いました。
もはや触れることも匂いを嗅ぐことも体温を感じることもできなくなってしまった妹。祭りの夜、顕界と異界を隔てる鳥居をくぐった彼を待っていたものは、彼自身の記憶の残像だったのでしょうか。
そして、きっぱりと
>リコはもういない。
そう諦念した時、ようやく哀しみから立ち直ることができたのですね。
もの哀しくて切なくて胸が塞がれて、幻想的なお話でした。
はからずも零れ落ちた私の涙は、温かかったです。
那智様、またまた素敵な小説!
読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
ブロ子さん、お返事遅くなり申し訳ありません。
そして丁寧なコメント、お星様までありがとうございます。
たしかに命そのものを扱うという意味で「さくら回廊」に通じるところがありそうです。
ただ実はこの作品、昨年の夏に書いて一度お蔵にしていたものなのです。
最初はもっと短編(掌編かも)でなんだか読み返すと嘘っぽくてちょっと人前に出せるものではないかなと。
それを少しずつ書き足してはまた削ってみたいな繰り返しで、ちょっと形になったのはここ数週間のことです。(熱が出たのはこのせいか?)
なのでどちらかというとそういう逡巡が「さくら回廊」の方に繋がったのかも知れませんね。
<祭りは間釣り>
<現実の日常生活で離れてしまった神と人の間を釣り合わせるための神事>
なるほど、深い!
さすがはブロ子さん、本当に博識ですね。
図らずも鳥居を潜った先は神のおわす領域(那智はあまり考えていませんでした💦)
そこで主人公の身に起こった奇跡は確かに神様の差配であったのかも知れません。
そしてラストもブロ子さんのおっしゃる通り、人間は諦めること、失ったことを認めることで次の一歩を踏み出せる、そういうメッセージを誰かと共有したくて書いた作品でもあったので、読み取って頂いてとても嬉しかったです。
こちらこそいつも深く丁寧に読んでいただいて感無量でございます。
心より感謝申し上げます。
Tokyo Cakeへの応援コメント
兄弟愛が伝わってきます。
お兄ちゃん、現実と向き合えるようになって良かった。妹のいない現実は悲しいでしょうが、現実逃避する兄を見ていた妹はこれでは駄目だと思ったのでしょうね。
素敵なお話でした。
作者からの返信
カレーハンバーグ様
コメントありがとうございます。
そうですよね。
哀しみを胸に抱え、けれどそれを吐き出せなくて心の内側に迷い込んでいた主人公を妹は救いたかったのかも知れませんね。
読んでいただけてとても嬉しいです。
編集済
Tokyo Cakeへの応援コメント
「東京ケーキ」、検索してみました。カステラ焼きのことをそう呼ぶ県があるんですね、知りませんでした! なんか曲のタイトルみたいでおしゃれ! 小説のタイトルとしてもめっちゃセンスいいと思います♡
序盤から丁寧な描写で頭の中に映像が浮かび、ぐいっと世界に引き込まれました。
私の好みの話になってしまいますが、たんに “着物はぐっしょりと濡れそぼり” などとするより、“紺色の飛白は~” とあるほうが鮮明にイメージできてとってもいいと思います。若い人は飛白とかわからないんじゃないだろうか(自分がともすると無用な固有名詞を書きまくるほうなので・苦笑)ともつい考えてしまいますが、言葉や知識って読み物から得るところが大きいと思うので、省いちゃいけない気がします。
テキ屋の猫さんが出てきたところでは、思わずうちの子? と思ってしまいました(笑) ハチワレソックスのお嬢さんがいるんです。なのでニヤニヤしながら読んでいたのですが……ああ、少し感じていましたがやはり悲しい展開でした。。。リコちゃんはお兄ちゃんが心配で、お宮さんの神さまや猫さんにこれを渡してやってとお願いしたのかもしれませんね。ひょっとしたら傍にいたのかも。
悲しくて切ないけれど、なにかがじんわりと沁みてくる、不思議なお話でした。
作者からの返信
烏丸さん、返信遅くなり申し訳ございません。
そして拙作を読んでいただきありがとうございました。
おっと、調べて頂いたのですね。
そうなのです。
那智の住む地方では東京ケーキなのですよ。
で、逆に大学生になるまでベビーカステラ(そちらではカステラ焼きっていうんですね)というネーミングを知らなくて、学園祭で友達にめっちゃ笑われたという黒歴史に繋がっております。
でも烏丸さんにおしゃれといって頂いて、ようやく今日トラウマから抜け出せたような気がしております(大袈裟にも程がある)
え、飛白(かすり)って若い方はあまり知らないんでしょうか。
那智の近所には「かすり会館」という伊予絣の物産館(あっけなく所在地告白)がありまして、着物といえば絣(飛白?)という感じです。
まあ、那智も子供の頃にしか着たことはないんですけど💦
あと烏丸さんのお家でも猫を飼っているんですね。
しかもハチワレソックスちゃん。イメージしてもらいやすくて良かったです。
ウチは黒猫(女の子避妊済み)ですよ。ちなみに名前は「まりも」です。
東京ケーキ。哀しいお話ですが、でもやっぱり主人公にも一歩、足を踏み出してもらいたくてこのようなラストになりました。
少しでも心に沁みていただけなら作者として感慨無量でございます。
あらためてありがとうございました。
Tokyo Cakeへの応援コメント
少し不気味だけど切ないお話ですね。
独特の世界観は流石、那智さんです。
作者からの返信
七倉さん、さっそく読んでいただきありがとうございます。
ですね。ちょっといろいろ不気味かも、です。
実はこれ、去年の夏に書いた作品です。
それをちょっとずつアレンジしたり、書き加えたり省いたりしているうちにこんなふうになりました。
世界観を感じてもらえたなら嬉しいです。
コメントありがとうございます。
Tokyo Cakeへの応援コメント
現代ファンタジーの名にふさわしく、幻想的で情景描写が美しい作品です。
映画「銀河鉄道の夜」のエンドテーマが流れてきそうな雰囲気で、鉄道は来ないけれど東京ケーキのお店があるのが素晴らしいです。
あの橙色の灯りの下で、あまーい香りを漂わせながらくるくる焼かれる東京ケーキは縁日の至宝の一つですから。
ここ九州でも10年くらい昔は東京ケーキと呼んでいたように記憶していますが近年は「ベビーカステラ」になっています。ベビーカステラより東京ケーキのほうが洒落ているように感じて、名称を変えないで欲しかったのですが……四国では今も東京ケーキなのでしょうか、もしそうならとてもよいことです。
ただでさえどこかしら異界へつながっている雰囲気のある縁日の夜、虚実入り乱れる記憶と幻想と現実の行き来が自在に描かれ、さすがの文才です。
素晴らしい作品でした!
作者からの返信
江山さん、コメント並びに素敵なレビューまでありがとうございます。
「銀河鉄道の夜」のエンドテーマとは勿体無いお言葉。
けれど東京ケーキが縁日の至宝なのは激しく同意します。
あ、九州でも東京ケーキと呼ばれてたんですね。
四国だけだと思ってました。
ここ数年は縁日を歩いていませんが、たしか両方(ベビーカステラと東京ケーキ)あったような。
那智もこの名前の方が好きなので廃れないで欲しいと願っています。
縁日の夜はやはり非日常的でちょっと道を外れたら異界に迷い込んでしまいそうな雰囲気がありますよね。
那智の文才など江山さんの爪先にも及びませんが、これからも独特な雰囲気が感じられる作品作りをしていきたいと思います。
拙作を読んでくださってありがとうございました。