第18話 里の未来
「私、初夜を迎えたいです」
「お慕えしております、ウィルさん」
こうして始まった俺とウィルの初夜であったが、なんか、凄かった。
慣れない手つきであったが、小さくすべすべしたウィルの手によって果てた俺に休む暇は与えられなかった。
「私も……いいですか?」
上目遣いでそう言われながら刺激を受け続けた俺の身体は、そのまま初体験へ突入。ウィルも初めてなのだから、ここはゆっくり優しくしないとなと心がけていたのだが、ウィルはそれを許さなかった。
「大丈夫ですので……リオンさんの動きたいようにして、いいですよ?」
恐る恐るゆっくりと動きを速めると、ウィルの身体は激しく反応し、漏れる声も大きくなっていった。部屋中にウィルの甘ったるい声が響き、俺の頭を何かが支配していった。徐々に動きが速くなる。
しばらくして俺の身体が二度目を迎え、これで初体験も終わりか、なんて一息つこうとした時だった。
「リオンさん……まだ、大丈夫ですか?」
なんと初体験にしておかわりを要求された。
そんなわけで、ウィルはしっかりとエルフの血を継いでいるんだなと実感した夜だった。
その後、あることに気付いて顔面蒼白になっていたが、女王の使いがやってきてある魔法を教えてもらった。エルフの里に受け継がれる魔法で、コンドーフというらしい。この魔法により、俺の悩みは解決した。しかし、こんな魔法があるなんて、やっぱりエロフじゃないかと思うのだった。
そんな夜が明けて、同じベッドで目覚めた俺たちはなんだか恥ずかしくなり、お互いにはにかみながら「おはよう」なんて挨拶した。
昨日、グェルたちに襲撃されて森の神様の祠周辺の伐採が途中で終わっていたので、俺とウィルは仕上げの作業に向かった。
「そういえば、ウィルのお母さんって里にいるの? ご挨拶したいんだけど」
「私の母は女王様ですので、挨拶は大丈夫ですよ」
「そっかー……えぇ!?」
ぬるっと重大な情報が出てきて、少しあった眠気が吹き飛んだ。どうもエルフ族は里の子供として里一丸で育てるため、産みの親とかは気にしないらしい。女王も世襲制度ではなく、森の神様が指名するんだとか。
道中、切り倒した木がいくつかなくなっていた。ウィル曰く、里の者が少しずつ里に運んでいるらしい。すごいパワーだなと思ったら、どうやら魔法で運んでいるんだとか。
今回もウィルに
「その状態でしたら……どうなるんでしょうか」
なんて赤面でモジモジしながら言うんですよこの子。え? 2日目にして外? 本気ですか?
原作で
作業やらなんやらを終えて里へ戻ると、女王の使いから、お礼とお別れの宴を行うから来てほしいと誘われた。
他にすることはないし、是非と会場へ向かった。そこには、いつも食べている果物を基本とした豪勢な料理と、里のエルフたちがテーブルに沿って並んでいた。
俺たちは促されるままに席に座り、女王の音頭とともに食事を始めた。
「ねえねえ、あなたが私たちの里を救ってくださった勇者様なの?」
「あれ? 勇者様ではないって聞いたよ」
「実際救ってくださったのだから、彼が勇者様よ」
「それもそうね〜。あ〜、ワタシ、勇者様の子供がほしいなあ」
「あっわたしもわたしも! ねえねえ、いいでしょ?」
エルフのお姉様方に囲まれた俺は、ずっと苦笑しながら適当に相槌を打つ。隣に座っているウィルは何も言わないが、気づけば俺の腕を捕まえていた。それに気づいた一人のお姉さんが、ニヤリと笑い揶揄うように言う。
「ウィルちゃ〜ん、勇者様にベッタリね。パートナーってどんな感じ?」
「そうですね、私は今リオンさんと一緒にいられて、幸福感に満ちています。常に心がポカポカと満たされて、世界も前より綺麗に見えます」
そんなウィルの返答を聞いて、お姉様方はゴクリと生唾を飲む。
「ど、どうしよう。ワタシもパートナー作ろうかな……」
「え、でも寿命が短くなるんでしょ?」
「まあ、いったん相手にこの里に住んで貰えばいいし? それに、誰かと一緒に添い遂げるってのも素敵だなって思えて……」
「そういえば、定期的にこの里に人間が来るようになるんでしょ?」
「え、それ本当? ヤバ、今のうちに準備しなきゃ!」
もしかして、今、エルフ文化が大きく変わろうとしているのではないだろうか。なるべくこの世界のシナリオに関与はしたくないと言いつつ、エルフの里を救った身でなんだが。ただ、ウィルは勇者パーティーではないからセーフだと思いたい。妖精の剣も
エルフのお姉様方と入れ替わりで、今度は女王がやってきた。
「リオンさん。楽しんでいただけてるでしょうか」
「あ、はい。ありがとうございます、このような催しを開いてくださって」
「いえ。急拵えでしたので、あまり大層なものは用意できなかったのですが。……その代わり、私をいただくというのはどうでしょうか?」
女王、あなたもですか。……てか、女王ってウィルのお母さんなんだよな。え、俺って今、
「えっと、女王様……」
「いやだ、ウルカって呼んで」
「ウ、ウルカ様……その、本日はもう疲れていまして、この後里を出なければなりませんし、また今度の機会に……」
俺が断ろうとすると、隣から「いいですよ」と聞こえた。驚いてつい振り向いたが、見なくてもわかる。ウィルの発言だ。
ウィルさん!? 何言ってるんですか!?
「初めてはいただきました。ですので、女王様であれば大丈夫です」
「あらあら、じゃあ3人で致しましょう。ウィル。あなたには色々教えてあげたいことがたくさんあるのですよ」
「……ぜひ、ご教授よろしくお願いいたします。もっと、リオンさんを満足させてあげたいです」
「うふふ、健気で可愛いわね」
俺の意見なしに話は進んでいく。そしてそのまま俺は女王の間の奥の部屋へ連行され、エルフの真髄というものを見せられるのであった。
* * * * *
さて、夕方というにはまだ早いという時間帯になった。俺たちは里を出る準備を済ませ、入り口の方へ向かっていた。
入り口に着くと、女王……ウルカさんとその側近たちが俺たちを待っていた。
「リオンくん……私、あなたのこと忘れないわ。あなたは私の勇者様です」
「あ、ありがとうございます」
先ほど目に焼き付けられたウルカさんの綺麗な体を頭から振り払いながら、なるべく目を見て話す。
「これ、この里にある金銭です。私たちには必要ありませんので、ぜひ持っていってください」
そう言って出された袋を受け取ると、ずっしりとした重みを感じた。どれだけ入っているんだこれ。
「そんな、ここまでしていただいて」
「いえ。これは立派な褒美です。それに、なんでしょう、この気持ち。貢ぎたい? そのような衝動に駆られて、仕方ないんですっ」
「あ、あはは」
前世でそんな文化があったなと思い出しながら、乾いた笑いが出る。
「女王様。それでは行って参ります」
「ウィル。あなたは少し抜けているけど、強い子です。私たちのリオンさんを立派に支えるのですよ」
「女王様……はい! 全力でリオンさんをサポートいたします」
娘の門出を激励する母親って感じだなあと思いつつ、なんか気になる言い回しがあったような気がしたが、気のせいだろうか。
「二人の旅路が良き物になりますよう、里からお祈りしています。……たまには、帰って来てくださいね」
「ウィルの故郷ですからね。定期的に訪ねさせていただきます」
拗ねたように言うウルカさんに、俺は笑いながら返す。
「そしたら、また……しましょうね?」
熱を帯びた目で見つめられ、咄嗟に目を逸らして俺は里の外を振り返る。
「それでは行ってきます。お世話になりました」
「行って参ります。みなさん、お体に気をつけて」
こうして俺たちはエルフの里を後にした。
後ろから「いけず」と聞こえたが、俺は振り返らない。今は前だけを見て進もう。
たまには帰って来ようとは思う。けど、次来た時に俺は再び外の土を踏めるのだろうか。少し考えたところで身震いがしたので、俺は考えることをやめた。
そういえば、
みんな、元気にしてるかな。俺はもう戻れない村の人たちに思いを馳せるのであった。
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あとがき
これ大丈夫かなあ
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