1000字以下のファンタジー系短編集

朝香るか

第1話 剣闘士の話

剣闘士の話姫を取り合う騎士たち。

二人の騎士が決闘し、勝った方に下賜させる。

しかし、姫には好きな人がいた。

政略結婚はすぐそこだ。

決闘は朝日が昇ったら開始される。


あっさりとしょうぶがつくわけもなく夕方まで勝負は続いた。勝ったのはA

姫は明日なら明日なら会ってもいいと言い自室に戻る。


好きな人とお別れをして。涙を流して悲しんだ。

姫の思い

私は景品ではないし、好きな人もいるのにどうして王はこのような酷い命令を下すのだろう!

ああ、好きな人がいると言えたならどんなにいいか。

きっとお父様にバレたとなったら彼はきっと消されてしまう。黙って買った方と一緒になろう!

この思いは成就することなく秘めるものなのだ。わかっている。


姫は自分の心を押し殺し、買った方の剣闘士と結婚した。

愛のない結婚。

嬉しそうなのは男性陣だけ。

お母様は私の気持ちを知ってくれているから暗澹たる気持ちだった。結婚して指輪を交わし、初夜を過ごした。そこに愛はなく子をなすためだけの儀式だった。

数ヶ月後妊娠が発覚する。

無事に生まれ、乳母に預ける事ができた。

健康な男児だ。

これで役割は果たせた。


王は喜んだが、乳母や教育係を雇い、子育てには一切関わろうとしなかった。

愛していない子には手を挙げてしまうそうな自分が怖かった。

母もこのきもちがわかってくれるらしく、全面的な協力を得られた。


これが私の精一杯の愛情。

息子から逃げてきたから晩年の待遇は良いとは言えないが、政略結婚なのだ。

人目につかない寂れた塔の中で過ごしている。鎖付きで。何の罪人かと思うが、教育係を育ての母として表舞台にいるようだ。

愛情を持てないものの末路なんてこんなものだ。


END

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1000字以下のファンタジー系短編集 朝香るか @kouhi-sairin

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