第6話 ママたちのランチ

「もうお昼やね、ラーメンでも作る?」

「ねえ、幼稚園の近くに新しくご飯屋さんが出来たん、ちょっと行ってみいひん」

「ええね、どうせ幼稚園にお迎えに行かんとあかんし」

 ミカはジーンズの上のTシャツだけ着替えると、日焼け止めクリームを塗った。

「あっ、ウチにも貸して。汗で流れてしもうたわ」

 シオンママがクリームを塗っている間に、ミカはエアコンの停止ボタンを押し、キッチンの火の始末の確認をした。

 

 古民家をリノベーションしたご飯屋さんは、2つの座敷を開放したこじんまりとした店だった。靴を脱いで座敷に通されると、お祖母ちゃんの家に来たみたい。

 まあ、それがコンセプトのようだが。

「今日のランチは鯖の味噌煮かハンバーグやて。どっちにする?」

「1つずつ頼んで半分こせえへん?」

「あっ、それええね」

 ランチを待つ間、ミカはスマホを操作してシオンママに見せた。

「わあ綺麗」

「今年のネイルの流行色はこれらしいで」

「リョウ君ママの博多のお店、順調なん?」

「みたいよ。リョウ君は大阪を懐かしがっているねんて」

「大阪いうより、ユウ君が恋しいのんと違う」

「そうやなあ、仲良かったもんなあ。そやけどユウは、また以前のように、シオンちゃん、シオンちゃんて」

 二人の大きな笑い声が部屋中に響き渡った。

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