第4話 韓国ドラマ

 ミカはCMの間にアイスコーヒーのお代わりを作りにキッチンに立ち、クッキーを缶ごとリビングのテーブルに置いた。勇気にはいつも3個だけと言っているのに、ここは母親の特権。

「まだ、始まってへん?」

 トイレから慌てて戻ってきたシオンママが訊いた。

「うん、まだ、このCM長いねん」

 目はテレビ画面に向いたまま、クッキーの缶に手を伸ばす。

 やがて始まったドラマにツッコミを入れる。

「この女、何やのん、人の旦那にしつこう言い寄って」

「ほんまに、キム秘書のときは可愛らしい役してたのに、憎たらしい役もうまいわ」

「うそ、出てた?」

「あの歌のうまい子や」

「ええ~、びっくり」

「そやけど、この旦那のどこがええのかちっともわからへん」

「う~ん、背が高くて寡黙で、室長してるし、格好よく見えたんとちがう」

「あんだけ拒んでいたのに、男ってふらふらっと行ってしもて」

「でも、1回きりの浮気は慰謝料請求でけへんてよ」

「ああ、そやから何人もの女と1回きりの浮気をするねんて、うちの旦那が言うてたわ」

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