フットボール論 七式

16年のタイムトリッパー CR7&ぺぺ（2024/6/18）

今年は2024年。そう、2024年、のはずだ。

2024年6月18日。ユーロ2024グループステージ第一節、ポルトガル対チェコの一戦。

ピッチの上にはFWとして貪欲にゴールを狙うCR7、クリロナの姿があり、最後列にはキーパー前の番人として立ちはだかるペペがいる。

まるで前大会の録画でも見ているような感覚だ。

そう、この既視感は何度と繰り返されてきた。

前回のユーロ2020もそうだった。

そして2016も、2012も、である。

この二人のコンビ、2008年から5大会連続。

クリロナ39歳、ぺぺ41歳、二人で80歳。

勝ち越しゴールを決めたコンセイソンの約四人分。

まるでコールドスリープでもしていたかのように変わらぬ姿で現れてはチームに名を連ね、常にチームの中心に居続ける。

とはいえ、16年という月日の影響は皆無ではない。

爆発的な加速力は落ち、荒ぶるプレーも減り、表情には歴史を刻んだ跡が見え隠れ。

だが、限りなく無駄を排除し、勝負どころの見極めは巧みだ。

そして、二人には修羅場をくぐり抜けてきたスキルがある。

クリロナは最前線でチェコDF陣の脅威となり続け、

ぺぺは荒々しさを内に秘めたまま冷静なプレーを継続。

試合終了のホイッスルを両者ピッチ上で聞くに至り、この初戦を勝利で飾る。

それにしてもだ。

前回の大会で、ユーロでの二人の勇姿は見納めかと思いきや、まさか今大会も元気な姿を見られるとは。

ぜひ2028も期待したい、と言いたいところだが、

そうなるとクリロナ43歳、ぺぺ45歳、流石に難しいだろう。

二人の輝かしい歴史は、ここが終着点になるかもしれない。

その手に再び栄冠となるかどうか、見届けたいと思う。