フットボール論 七式

ヨーロッパリーグ史に名を刻む決勝戦：アタランタ3-0レヴァークーゼン（5/22/2024）

51試合まで伸ばしたレヴァークーゼンの無敗記録を止めたのは、ガスペリーニ率いるアタランタだった。

立ち上がりからマンツーマンをベースに統率されたプレッシングとアタッキングサードでの獰猛さに目を奪われた。あれだけ挑戦的な戦いを決勝の場で実行したのは、ドイツ王者相手に一歩も引かないという決意の表れだったのだろう。

キックオフからの勢いそのままに前半12分、26分と立て続けにルックマンがゴール。彼のキレも決定力も素晴らしいが、レヴァークーゼンを自陣奥深くに閉じ込めた策があってこそ。

しかし相手は無敗王者。これまで何度と逆境を跳ね返した強者。2-0とした後も果敢に前進を試みる。ヴィルツを中心にカウンター絡め何度もゴールを狙うが、一方のアタランタもテンションを緩めずレヴァークーゼンに好機を与えない。試合開始当初から相手陣内に多くの選手を投入することでミルフィーユのような縦の多段守備網を構築し、中央ラインを軸にレヴァークーゼンの前進を阻み続け、自陣での危機には切り替えの速さで対応。まるで熟練の職人のように、配置のズレなく階層を整え、圧をかけ続ける。

後半も勢いを緩めることなく75分に再びルックマン。ヨーロッパリーグ史上初のハットトリック。3-0での勝利、そして決勝というこれ以上ない舞台に華を添えた。

アタランタの攻撃的なマエストロは66歳にしてキャリア初のタイトル。その試合内容は後世に誇れるものとなった。