第4話  初期装備と言ったらもちろん木の棒でしょう!勇者!この女神に感謝しなさい!!



 ステータスはまじでゴミでしたわ!そこら辺の村人の方が強いのでは?というか強いですわね。


 ま、まあまだレベル1。レベルが上がればステータスも上がるでしょう。ええ、そうですきっとそうに違いありません。

 こんなクソガキでも腐っても勇者。絶対に強くなるはずです。多分…。



「さて、ステータスも出ましたわ。そろそろここが異世界だと、信じて貰えますか?」


 私はできるだけ営業スマイルを維持しつつ、そのまま勇者に問いかける。頬が痙攣しそう…。



「これは!」


 そう!そうです!!よくあるステータスですよ!!!



「上に糸か何かで吊り下げてるのか?」




ズシャーーーーーッ!



 なんで!?なんでそこまでして妙に現実逃避してるんだよこのガキ!


 なんだ?なんだ?誰だこんな偏屈なやつ育てた親は!?いったい何やったらこんなアホが生まれやがる!?


「い、糸なんてないですわ!世界のルールですもの」


「世界〜?世界のルールなんて人間が勝手に決めただけだろ?そんなのしらねーよ」


 せいかーい!じゃねーよ!!?



 私!神様が決めた!世界のルール!そういう世界なの!!


「フォログラムとかそんな技術でもできたか…」


「違いますわよ?これはそういうシステムです!言ってしまえば、世界そのものがあなたの言葉に反応して、ここにステータス画面を出してるのですわ!」


「ゲームでもあるまいし、そんなこと言われても信じれないだろ?」


 信じろよ!?



 君のいた世界にはブロペラも何も無く空中に浮かび静止できる板があるので!?ねーよなー?!


 もー!いい!こうなったらどこか適当に雑魚モンスターでもぶつけましょう!!





 あ!



「み、見てください!あそこにスライムがいますよ!!」


「スライム〜?」


 そう!冒険の始まりにして最初の戦闘。いわばチュートリアル!雑魚オブ雑魚!ワーストワン!剣で触れるだけで倒せるんじゃないかという低HP!むしろよく今まで生きていた!!


 そんなスライム!最近流行りの強いスライムなんてそうそういませんことよ!!


「あれを倒してみましょう!」


「え、やだ。気持ち悪い」




 男だろぉぉぉーー!さっさと倒せよっ!!


 なんだ?あれか?現代っ子よろしく、虫触るの気持ち悪くてできませーん。うぇーん。とかそんなやつなのか!?この意気地無し!!


「大丈夫、貴方は勇者。そこら辺にいる最弱のスライムなんかには負けませんわ!」


「勇者って言われてもなァ。俺手ぶらだぜ?普通武器か何かあるだろ?」



 …、あぁ、確かに。私、女神。失念していましたわ。


 確かに武器は欲しいですわね。


「インベントリ、と言って見てください。その中に武器が入っていますよ?」


「え?またかよ。ごっこ遊びに付き合ってる暇はないんだがなぁ…」


 どの口が言いやがる…。


「インベントリ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


インベントリ


・木の棒

・木の斧

・初級回復ポーション



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 その棒はなかなかいいものなんですわ!なんせ木の枝とかではなく棒!ちゃんとまっすぐ!かつ、そこそこ重量もあって扱いやすい!

 勇者!感謝して欲しいですわね!!



「ふむ。斧か」


「そっち!!?」


「あ?棒なんかじゃ、スライムに勝てそうに無いだろ」


「突いたり、振り下ろして撲殺できますわよ?」


「あのな、それなら斧の方が、振り下ろすだけで真っ二つにできるくらいの威力になるだろーが」


「あら。…。確かに」



「自称女神のくせに頭はバカだな!」


 お前よりマシじゃわい!!?

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