第4話 Joyful PrettyGirls
2人は麗奈の席まで来て、吹部を辞めてきたと麗奈に言った。
「なんで辞めたの?あんなに楽しくやってたじゃないの?」
「夏休みの終わりに麗奈に言われて、練習してたんだけどね。練習すればするほど、みんなの演奏が聞くに耐えなくなってきちゃって。あれじゃ、他校の生徒からばかにされたのもわかるかなって思ったのよね。あの頃は、私達も同じレベルだったから。気が付かなかったのね。」
「じゃ、これからどうするの? 私は週1の在籍だけする文芸部ですけどね。1週間に1時間、いればいいだけだから。吹部と一緒だけど、恥かかないしね。」
「あれから、私も普通のエレキベースも練習してたのよ。あすかなんて、毎日スティック叩いててね。授業中でさえ、手と足動かしてるわよ。だから、また一緒にやらないっていうか、やってよ。麗奈のバンドに入れてよ。私達、努力すれば上手くなるってわかったから。」
「そうね。でも、私もまだまだだわよ。だって、コード覚えたり。やっとソロとかも弾けるようになったくらいだからね。初めての楽器で1ヶ月経ってないですもの。」
「1日に何時間練習してるの? 麗奈は。」
「多分、帰ってから寝るまでかな。弾きっぱなしだから、時間はわからないわよ。一応、暇な時は作曲もしてるからね。」
「知ってるわよ。麗奈がこの学校に昔軽音部あったのを見つけてたでしょ?」
「ええ、それでも。部員4人と顧問と生徒会と職員会議で可決されないと一度廃部扱いになってる部は復活できないのよね。新設よりも楽だとは思うけどね。昔の先輩は有名だったみたいだからね。」
「それなら、もう1人いるわよ。恥ずかしがって、麗奈に冷たくしてたから合わす顔ないって来なかったけどね。葉月ちゃんよ。ペットも上手いけど、幼稚園からピアノやってたから、キーボードはできるって言ってたわよ。まぁ葉月ちゃんも、辞めちゃってんだけどね。
私達よりも先に辞めると思ってたんだけどね。3人で話し合って同時に退部したのよ。」
「あんた達、後先考えないで行動するわよね。葉月ちゃんも、これからプロになるのかなって期待してたのに。もう、なに考えてるのかしらね。でも4人集まったからって、部にはならないしね。同好会ですよね。活動を見て部に昇格するし。顧問も見つけないと、それからね。」
「顧問なら大丈夫よ、美羽先生に頼んだから。」
「顧問まで、もう揃えたの? あの雪先生をどうやって、お願いしたの?」
「まぁ、帰宅途中に待ち伏せしてね。相談があると、私がファミレスで相談してる間に、あすかが先生のバッグから財布盗んでね。代金は私が払ったのね。勿論、財布は先生の机の中にそのまま入れておいたわよ。」
「本当に、悪い事するのね。」
「生徒におごられた教師なんて、言い訳できないでしょ? 言わないからって、顧問引受させたのね。生徒会はともかく、職員会議は雪先生人望あるし大丈夫よ。」
2週に渡り開かれた生徒会の会議では、昔の実績とかも考慮し後は職員会議に委ねていた。
その間にも、4人は個人で練習をしていた。
麗奈と葉月が作曲と編曲をして、作詞はあすかと彩香に任せていた。
あすかの詩はメチャクチャだったが、彩香は兄の影響もあり曲に合わせて綺麗な詩を書いていた。
後の3人は、多分お金持ちだった。
彩香は兄に買ってもらったと、リッケンバッカーのベースだった。
彩香は、気が付くと左利きだった。
職員会議も終わり、11月の学園祭で良いステージができたら同好会として認める事となった。
麗奈達は、演奏ばかり気にしてボーカルを忘れていた。
ドラムのあすかは無理として、後の3人で歌を1人ずつ歌っていた。
葉月は綺麗な声であり、うっとりしてしまっていた。
彩香は少し物足りない大人しい歌声だったが、ノッてくれば声も出るだろうと思った。
麗奈は他は中の上でも、音楽は1番の成績だったので、それなりに歌えた。
「ねえ、麗奈。もっと、声でるでしょ? 麗奈って何オクターブ出るの?」
「そうね 4くらいでるわよ。ファルセット合わせるともっとかも・・・・・」
「声量もあるんだから、しっかり歌えば間違いなくメインボーカルよ。コーラスは葉月と私でなんとかやるしね。あすかも慣れてきてるから、歌いたくなったら、ハモるといいわよ。」
「そうね、メインは麗奈に任せて。頑張ってもらいましょうね。後は学祭までに完璧に音を合わせましょうね。週一の吹部の練習以外は音楽室が空いてるから、そこで許可取って練習しましょう。」
「じゃ、私もドラムセット持ってくるね。家では電子ドラムで練習するから1回運べばいいだけだしね。」
おいおい、どんだけお金持ちなんだよ。
学校には4個アンプがあったので、問題なかった。
翌週の月曜日放課後になると集まり、あすかの家に行った。
麗奈のマンションと比べると、お屋敷だった。
玄関まで運ばれてきた荷物を、2往復してみんなで運んでいた。
まぁそれでもあすかが、コツコツと小さな物は学校に運んでいたのだったが。
いよいよ、音を出してのスタートだった。
アンプの音は小さめにしてボロンと鳴らし、麗奈は感激していた。
彩香のリッケンバッカーは弾きにくいので有名であったが、弾き込んでいるのか慣れていた。
このベースは弾きにくいが、音は凄くよかった。
いつも物静かな音楽室から音が流れると、次第に噂になってきていた。
吹部の先輩や同級生も来て文句を言っていたが、使用許可は軽音がとってあるので文句は言えなくなっていた。
バンド名は、みんなで検討して【Joiful Prittygirls】と決定した。
訳せば、楽しげな可愛い少女達と言う意味だった。
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