第2話Gibsonとバイト

制服の冬服はまだよかった。 

下にキャミかセーラーのインナーを着ればよかった。

夏服はどうしても、透けてしまう。

ブラをしなくてもいい体型だが、AAカップのブラをして恥ずかしかった。

こんなのも公立校の男女共学だからであると、今更ながら後悔していた。


マーチングフェスティバルも、麗奈達中学は散々だった。

歩幅も合ってない、演奏といえば途中で間違える者もいて笑って誤魔化していた。

それ以前にチューニングしてない楽器もあり、リズムも合っていなく。

聞くに耐えない演奏?? だった。

麗奈はフェスティバルの夜昔の教室の先生から電話があり、がっかりしたと言われた。


楽しければいいというレベル以前の問題であり。  

翌日、退部届けを提出していた。

あすかや彩香は止めていたが、もうやる気にもならなくなっていた。

週に1時間の部活の日だけ練習をして、フェスティバルにでるなんた無茶苦茶苦だった。

葉月も嫌気が刺していたが、まだ我慢をしていた。


ある日、部活も辞めてブラブラと街を歩いていた。

まぁいつもCDとかを買ったり、ユーフォを眺めるのが日課だったので。

1階はCDとか譜面が多く取り揃えてあった。

3階はペットとかユーフォとかの楽器だったので、いつも1階と3階を見ていた。

2階は見たことがなく、麗奈は足を踏み入れていた。

2階も楽器だったが、弦楽器が多かった。

アコースティクギター・エレキギター・シンセサイザー・ドラムなどだった。

新鮮で色々と見て回っていた。  

1番目に入ったのは赤いサンバーストのGibsonのレスポールのエレキギターだった。 

しかし、なぜか高く25万もした。

麗奈は昔から茉莉子の様に自分の楽器を持ちたいと思い、小遣いを小1から全部貯金していた。

お年玉と中学への入学祝いも入れても、20万くらいしかなかった。

もうすぐ夏休みなので、バイトをしてその時も欲しかったら買おうと思った。

部活を1人で辞めてしまった麗奈に、怒っていた彩香とあすかだった。

葉月もあれから、口も聞いてくれなかった。


あまり目立たなく、少し大人し目の麗奈は全く友達がいなくなっていた。

まぁ2年が殆ど抜けたのも納得できたのは、この頃だった。

初心者揃いのメンバーで、個人練習もしないで。

聞くに耐えない音を鳴り響かせて、演奏してる気であるのだから。

夏休みに入り、決まっていた昼間のファーストフードのバイトと夜のコンビニのバイトを掛け持ちしていた。

学校にはばれないように、電車で30分程の近隣の街でバイトをした。

朝の9時から、夜の10時まで仕事をする毎日だった。

聞くところによると、今年も最下位の大会だったみたいだった。


まぁ大した顧問もいなく、指揮も生徒がするのだから仕方ない結果だった。

最初の大会がこんな結果になるとは、あすかや彩香には辛いことと思った。

自分だけ、あの恥ずかしい場所から一刻も早く抜け出したいと思っただけだった。

麗奈と同じ様に真剣にやってる葉月には、とても声もかけられなかった。

あすかと彩香は入ったばかりで楽しそうだったので、言いづらかった。

家でも吹部を辞めたと言うと両親には怒られて、それからまともに会話をしていなかった。

両親も夏休みに入ると朝8時に家を出て、夜11時前に帰宅してる麗奈に説教をしていた。

バイトの事とかは内緒なので、口を閉ざしてる麗奈だった。

8月も中旬に入り、麗奈の部屋に茉莉子が入ってきていた。


「麗奈。ちょっといいかしら?」


「お姉ちゃん、明日も早いから。話しなら簡潔に済ませてよね。疲れてるの。」


「あんた、なんで吹部辞めたの?ユーフォ嫌いになったの?」


「ユーフォは今でも好きだよ。お姉ちゃんに教えて貰ったしね。楽しいもの」


「じゃ、なんで辞めたのよ。ユーフォも好きなのに、どうしてなの?」


「私の学校知ってる? 顧問も週1回の部活しか出てこないし、みんなも一緒よ。中学から部活始めてる人ばかりなのに、練習しないと上手くならないでしょ?そりゃ、大会とかでいい成績も取りたいしね。中学では、ダメ金じゃなく。金を取って、全国への行きたいと思ってたけど。無理なのよね。」


「そりゃ、わかるけど。音楽を嫌いになったの? もう、音楽から離れるの?」


「お母さんたちに内緒にしてね。そんな人数いなくてもいいバンドとかやりたいかなって思ったの。それだったら、なんとかなるでしょ?」


「まぁ、バンドなら4~5人でできるからね。それで毎日、どっかで遊んでいるの?」


「これも内緒だけどね。マックとFamimaでバイトしてるの。」


「あんた、まだ中学生よ。バイト禁止でしょ?」


「そこは、年齢は誤魔化して。だけどね。」


「そのお金で、遊んだりするの? まぁ、遊んでないのはわかって安心したけどね。」


「やっぱり楽器は必要でしょ? 買うかわからないけど、今貯めてるの。多分、もうこの時点ではクリアしてると思うけどね。Gibsonのサンバーストのレスポールのエレキギター買おうかなってね。私は、お姉ちゃんみたいに優遇されてないし、私立とか中学は行かせてもらえないからね。2年半である程度、技術をマスターしようかと思ってるの。」


「麗奈。私が優遇されてるわけないでしょ。長女だから仕方ないけどね。」


「お姉ちゃんは、マイ楽器も買ってもらったし。吹部の有名は女子校にも入学できたから、こんな苦労わからないのよ。」


「まぁお母さんが心配してるから、私からは良いように言っておくわよ。秘密は守るからね。後、夏休みの宿題もやっちゃいなさいよ。おやすみ」


姉に全てを打ち明けて、胸の支えが少し取れた。

夏休みもわずかになったある日、あすかと彩香は遊びに行った帰りか。

麗奈のファーストフードに立ち寄り、席で話しをして、シェイクとポテトを食べていた。

店内は広いが彼女らと今は目を合わせたくないので、隠れながら仕事をしていた。


「田中さん、あっちのテーブル片付けてきて。」


チーフに言われ、下を向いて2個のテーブルをタオルで拭いていた。

案の定あすかに見つかり、あすかは彩香に麗奈が働いているのを知らせた。


あすかと彩香は店に居続け、麗奈は時間になると裏口から帰った。

次のバイトのFamimaまで歩いて、3時間のバイトを終えて駅に向かっていた。

駅に、2人がいたが頭を下げて電車に乗った。


まぁこの時間なので空いていて、座って30分ほどだった。




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