だって、そういう年頃だし
「ん、ん~……」
瞼の裏に光が当たる感覚と、遠巻きに聞こえてくる街の音で、私の頭は薄っすらと覚醒を始めた。どうやら今私は仰向けの状態であるらしい。目を瞑ったまま頑張って起きようと試みるも、なんだか頭が重たくて、体がだるい。次第に私は瞼に当たっている光を
「んぁう~……?」
少しでも光から遠ざかりたかった私は、行く手を阻むその何かを退かす為に、手を上下に動かしてそれの感触を確かめる。これは、一体なんだろう。それは柔らかくてしなやかで、所々になだらかな起伏のあるポール状の何かだった。それの感触を確かめていた私は、いつしか当初の目的を忘れ、そのなんとも触り心地の良い物体の感触を堪能するように
「昨夜は私をベッドに押し倒しておきながら先に眠ってしまったくせに、今朝は随分と積極的なのですね?」
突然目の前からそう声を掛けられた私は、反射的に硬く瞑っていた目を開ける。すると、そこには――。
「おはようございます。お目覚めはいかがですか?」
そこには、シャロが私と向かい合うように横になっていた。そして私の両手は、シャロのあらぬ場所を掴むように触れていて――。
「うぉわぁぁぁぁぁ⁉ シャ、シャロ⁉ なな、なんでこコこコに⁉ というか、何処はここ⁉」
「ここは私の部屋で、今私たちが寝ているのは私のベッドの上。何一つ不自然な理由などありませんわ」
慌てて周囲を見渡すと、確かにここは私の部屋ではなかった。幾つもの銃が几帳面に収められているガンラックに、きっちりと工具が並べられた作業台が置かれているこの部屋からは、人が生活する部屋というよりも、無機質な武器庫という印象を受ける。
いや、そんなことよりも、これはつまり、どういうことなのか。どうして今私は、シャロの部屋のベッドの上でシャロと向かい合って寝ているのだろうか。今の状況を理解する為、私は昨夜の記憶を思い出すように試みる――。
そう、昨夜の私はまずお風呂から出て、カウンターで三人と一緒にお酒を飲んで、泣き崩れて、その後は、…………、駄目だ、それから先の記憶は曖昧にしか思い出せない。ただ
………………⁉
ど、
恐る恐るシャロの顔を見ると、そこにはいつも通りの表情の希薄な顔があるだけだった。期待はしていなかったけれど、やはりシャロの表情からでは私の身に何が起こったのかを悟ることはできそうにない。
その場の沈黙と、二人してじっと顔を見合わせていることに耐えられなくなって、ついに私は――。
「……あの、シャロ、さん……? えっと……昨日は、その……な、ナニも……、ありあり、ありま、せんでしたか……?」
そう、質問せずにはいられなかった。
「? これと言って、おかしなことは特に何も」
セーフッ‼ シャロの反応を見る限り、嘘を吐いているようには見えない。良かった。本ッッ当に、良かった‼
「そ、そうですよね~! いやぁ~私は何か大変なことをしちゃったんじゃないかって、本当に焦りましたよ~も~」
「おかしな雫。さ、目が覚めたなら一緒にお風呂に入りましょう。朝食の前に汗を流したいですわ」
「あぁ、お風呂、ね……。えっと、その……シャロ、ちょっと言いにくいんだけど、私、一緒にお風呂っていうのは……まだちょっと、抵抗があるというか……」
「今更何を言っているのですか。昨晩はこのベッドの上で、あんなにも私に激しいことをしたくせに」
「…………えっ……?」
「さぁ早く、バレルが起きる前に済ませてしまいましょう」
待って、待って待って‼ 激しいとは一体何が⁉ 済ませるとは具体的にナニを⁉ ま、まさか、もう手遅れだったとでも⁉ そ、そんなまさか、初めてのセッ――……ゴニョゴニョが女の子同士で、しかもその相手が職場の同僚(予定)なんて、絶対に良い筈が……、筈が……無い、のだろうか……?
ふと、私は疑問に思う。どうしてそれがいけないことだと言えるのだろうか。だって、私はもう二十二歳ですよ。今までは家の事情やら、WEフォースでの集団生活の都合上、そういうこととは縁遠い感じになっていたけれど、もう一度言いますが、私は二十二歳なんです。前に立ち聞きしたWEフォースの先輩隊員の話している会話の内容や、そういったモノの本の情報を統合する限り、そういうことはもっと早くに経験していてもおかしくはなかったような気がするし、その、私だって、そういうことに全く興味が無いということも無いというか……。いやいやいや、だとしても、そんな――。
整理のおぼつかない頭のまま、不意に私の視線は目の前のシャロの方へ向く。
うわ、美人だなぁ……。セミショートに切り揃えられたサラサラなシルバーの髪。白い肌に
そうこうしていると、思考が完全に停止した私はシャロに腕を掴まれて、そのままされるがままバスルームへと連れて行かれ、そのまま服を脱がされると、それから、それから……――。
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