円環を断ち切る剣
「
世界の裏に潜みし者よ……
命あるのものは地に帰れ!命なきものは無に帰れ!」
――思わず僕は人気アニメ『
『
原作からして少年向けであり、まさに少年であった僕は今もその魅力に憑りつかれていた。口をついて出た呪文が僕に勇気を与えてくれる。手に握りしめた石が熱を持ったような気がする。このご神体はまさに、アキラが持つ魔法使いの
僕は必殺技の呪文と共に腕を振り上げ、構えた。これは今まで何百何千と繰り返し、完全に
作中の説明によれば、逆説の受諾を宣言することでアキラに向けられたエネルギーはすべて反転し、襲い掛かってきた敵を跳ね返すのだ!理屈は分からないけど、
そして
それを見た僕の中に、言い表すことのできない感情が満ちていくのが分かる。
いつだって妄想だけだった。どんなにアニメの真似をしても、呪文を暗記し、必殺技を繰り出すポーズをしても、現実には何も起きない。そんなことは分かっている。この世界には死から蘇るお化けも、それらと戦う魔法も無いんだと。
だが、――万が一。万が一、お化けが居たのならば、魔法だって使えない道理はない!心の奥底で僕はそう信じていた!
「必殺『
振りかざした手から溢れ出る光が収束し、そしてそれを敵に叩きつける!
この必殺技が炸裂したとき、敵を倒せなかった事はただの一度もない。果たして、僕の目の前に現れたそれも、
……輪廻の中に還るというのは、『
そして、極度の興奮状態が解けた僕は、全力疾走した後のようにぐったりとしてその場に座り込んだ。
目の前がぐるぐるして指先は痺れ、全身から汗が噴き出しているのがわかる。
ああ、これは……第一話でアキラが初めて魔法を使った時と……同じ……
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