第25 The first encounter

青い空⋯

流れゆく雲⋯

鳥たちは囀り

山の動物達は野を翔け

川の魚たちはゆるやかに流れに身を任せてる。


武士は山で狩りをしたり、田畑を耕して

細々と暮らしていた。


川で魚を摂っていた時に

祐に出会った。


まだ20歳も行かぬ少女であったがこの時代の

16歳であれば成人として立派な大人であった。


そして、武士には親と兄弟はいたが、若い頃、折り合いが付かず不仲で縁を切られていた。

自由気ままな性格が厳格な実家には合わなかった。


彼は飛山農水の地、今で言う岐阜出身であった。

旅を続けこの地にやってきた。

京の様に派手な町には興味もなく生まれ故郷に近い雰囲気の場所で生涯暮らしたいとこの地を選んだ。


唯一、武士の特技と言うか技能があった。その土地の食材でその土地の人々に料理を無料で振舞っていた。

貧困な村がこの時代にもあり、自分も裕福な暮らしはしていない経験から自分自身で狩りをし、耕して働けない村人達に料理を配っていた。


もちろん、村人達からは喜ばれよそ者の武士はすぐに村人達に受け入れてもらえるようになっていた。


ある晴れた日に武士は漁をする網を自分で拵えて

川へ鮎を捕りに出掛けた。


いつも魚を捕りに行く場所は上流で山に向かっていた時であった。先に見える川近くの大きな一本杉に差し掛かった頃、一人の少女⋯、祐が武士に声を掛けた。


「こんにちはっ、今日はいい天気ですね。」

元気よく爽やかな笑顔で武士に声を掛けた。


武士はびっくりしてぶっきらぼうに

「あ、あぁ、こんにちは。そうですね」


「その肩に背負っている網で魚を捕るんですか?」


「あぁ。そうだよ」


これまたぶっきらぼうに答える武士


祐は

「ぶっきらぼうにしてると幸せが逃げちゃいますよ~。あなたのその八の字眉毛可愛いのにもっと笑顔でいてくださ~~~い!」


「な、なに~~~!うるさいわ!これが俺なんだ」


「きっと笑うとかわいいのに」


「かわいいって。。。俺、39歳だぞ!かわいくないわい!」

と怒って見せる武士


「かわいいからかわいいって言ってるの!もっと笑顔しなきゃ」


「くそ~~~。。。からかわれてる。」


「この村の人?またどこかですれ違ったらお話しましょ。ばいばーい」


と、武士が向かう反対の方向へ歩いていった。


祐と武士の出逢いはこれが初めてだった。


「何なんだ。すれちがいざまに。。。でも。。。可愛かったなぁ」



そんな事を思い漁場に向かった武士だった。

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