第24章 Noise screen
タケシは画面を切った後、不思議な経験をした。
パソコンのスイッチから手を離した瞬間、ザザーと目の前がテレビの砂嵐のような光景が現れた。
「あれ?なんだ?目眩か。。。」
ザッザザー
「タ、たーちゃ、、、ん、わ、私を。。。」
砂嵐の中に人影らしい形が浮かぶ
「ヤバいな。。。」
タケシは疲れかと疑い、目頭を押さえた。
「幻聴と幻覚?疲れてんかな。。。」
今までストレスの中で生きてきたタケシは自分自身、心身不良を起こしたのではないかと思っていた。
暫くするとその症状は収まり、冷蔵庫から水を取り出し一気に飲み干した。
「ふぅ。。。なんだったんだあれは。。。」
少し落ち着いたタケシはベッドに横たわり天井を見上げた。
「しかし、あの子と話してたらなんだか心あたたかい。なんか会ったことある懐かしい感覚はなんだろう。。。」
穏やかな優しい気持ちが蘇り、タケシはウトウトとし、やがて眠りについた。。。
そして、タケシは夢を見た。
ザザーザッザザー
また目の前がノイズが走る。ずっと見ていると気分が悪くなりそうな感覚。
そして深い眠りについた。
ノイズに混じって人の影が見えてくる。
「た、け、、、し」
「ん?」
「た、武士さん。?お、起きて?」
「武士さん?俺のこと誰か呼んでる?。。。」
薄ら目を開けると
そこにはあの夢で見た少女がいた。
「き、君は?」
満面な笑みを浮かべ
「武士さん?大丈夫?何言ってるの?私だよ!私は祐だよ」
「ん?あ、祐ちゃんか。。。夢見てた」
「ぐっすり眠ってたから、もうお昼すぎだし、起こそうと思って。。。よく眠れた?」
体を起こし、周りを見る。
何故か着ている服は質素な織物でできた着物。
その少女も牡丹が描かれた着物を着ていた。
部屋は木と土壁でできた家のようだった。
紛れもなく現代では無く昔、歴史の教科書でみたことのある風景だった。
ここにはあのタケシではなく武士として存在している人物がいた。
タケシはあれから眠り、夢を見ていたのだった。
その夢も現実にいるかのような光景や話す言葉。。。
確かに意識はある。。。
ただその時間軸いや実際に存在してる風景、言語が確かにここにある。
武士の目の前にいる少女は見たところの年齢は16歳くらい。髪型はその時代には珍しい肩に掛かるくらい。今で言うショートボブ。透明感があり、優しい雰囲気を醸し出してる。
ここには鏡はなく自分の顔も映し出されることはない。顔を洗う時に自分の顔は、桶に溜まった水で映し出される。武士は自分の顔が桶に溜まった水に映し出され不思議な感覚にとらわれた。
「俺ってこんな顔してたっけ。。。」
眠る前に居た現実の意識はなく
今ここに存在している意識の中にいた。
その前の記憶もいっさいなく、この場所の意識だけが存在していた。
武士はみたところ、40歳ちょっと前くらいの顔立ち。無精髭を生やし、髪型は男性にしては少し長く後ろに髪を束ねていた。
どうやらここでは武士と祐はこの家に一緒に住んでるようであった。この年の差に思える2人は夫婦でないようであった。
「武士さん、今日は高千穂のあの滝がある場所に行きませんか?」
「あ、うん。。。今日、祐ちゃんは家族のいる家に行くって言ってなかった?」
「父上は今日、お社に行くっていってた。お母さんは体調少し良くなったみたいで、弟と妹が面倒見るから今日は来なくていいって」
「そうなん?ここに来て大丈夫なの?またお母さんに怒られちゃうよ。」
「いいの。。。たまには武士さんと一緒に一日中いたいから。。」
「そっか。。。ありがとう」
2人はやはり夫婦ではなく
年齢差のある恋人同士であるようだ。
この時代と場所は鎌倉時代くらいの遥か昔、九州地方にある高千穂。。。
そう、神々が舞い降りたと言う高千穂峡の近くの小さな村だった。
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