第20章 HappyNewYear in miyakojima

毎日が忙しく年末を迎えようとしていた。

リゾート地と言うこともあり、冬休みの学生や

そして、定年退職したであろうそのお祝い旅行の老夫婦、アジアの富裕層家族が多く宿泊するようになってきた。


レストランの収容人数が50人位を4~6回転

やはり厨房は怒号や急かす声が飛び交う。

朝早くから夕方まで続く厨房内の戦場。


タケシは忙しい毎日を過ごしていた。


大晦日には宿泊客全員に振る舞う

年越しそば、年明けに振る舞う雑煮など

クリスマスにはローストビーフを調理し

ライブでカットして提供するなどの役割をおこなっていた。


そんな仕事にタケシは感動を覚えていた。

仲良く会話する家族、そして幸せそうな時間を過ごす老夫婦やカップルの笑顔を見ることが一番の幸せに感じていた。


大晦日の日のこと料理長かは

「タケシさん、今日は大晦日だから仕事終わったら近くのライブハウスで年越しライブと花火打ち上がるから見にいくといいよ。」


「へぇー、やはりリゾート地なんですね。なんか面白そうだから行ってみます。」


遅くまで年越しや年明けの準備が終わったのが23時30分頃。。。

一人で準備していたタケシは


「そろそろ片付け終わったからライブハウスに行ってみるか。。。」


着替えが終わり

ライブハウスに向かう。

ライブハウスで演奏される曲が

会場の外にも流れてくる


懐かしい1980年代のアメリカンロック

マイケル・ジャクソンやワム、シンディーローパーの曲が流れてくる。


入口近くに差し掛かると

「タケシさん!来たんですね!こちらに来てください。もう少しで今年最後の演奏おわちゃいますよ!」

と、声の主はプライベートビーチを教えてくれた24歳のゆうやだった。


「お、おう」

急かされ無理矢理、会場に押し込まれた。


「お酒飲みますか?」


「あ、ああ、ホワイトローズのハイボールあるかな?」


「ハーパーもあるしアリーもありますよ。ローズですね?」

彼はレストラン業務が終わり、この会場のスタッフとして一日限り出向していた。


ゆうやはタケシがこのレストランに入ってから

やけにタケシに懐いていた。


「タケシさん。お待たせでーす!他の料員もいますよ。挨拶します?」


「あ、おん。」

瞬く間に彼に急かされゆっくりする間もなく

スタッフ達に紹介される。


「タケシさんも来たんですね!」

「タケシさんゆっくりして楽しんで」

「タケシさん!はっちゃけてください!」

といろいろなスタッフに声を掛けられた。


タケシは本当はこの地に来てからあまり

人と関わりを持たないようにしていたが、

若い彼らのエネルギーに圧倒されていた。


ガンガンと流れるディスコミュージック。

このライブハウスはクラブをイメージしているのではなく、1980年代のディスコをイメージしてるハウスだった。


流れる曲は学生時代に流行ったTVの

【ベストヒットUSA】でお馴染みの曲が生演奏されていたいた。

ホールの中心では踊ったりしている人達がいる。



ぼんやりと見ているタケシに

またゆうやが近ずいてきて


「タケシさん!踊ってください!」と

背中をホールに押された。


「お、おい!嫌だよ。。」


「タケシさんも若い頃踊ってたんでしょ?笑」

と意地悪そうな顔をした。


「ま、まあね。。。」


「だったら踊りましょ」


19、20歳の頃にマハラジャと言うディスコが一世風靡した時代がある。高校生の時から何度か出入りしていたタケシは少しウキウキしていた。

嫌だと言ってもその足はホールに向かう。


懐かしいステップをしてみたり今のダンスとは違うディスコダンスのステップを踏んだりしてみた。


周りを見ると宿泊客の他に厨房のスタッフやホテルのスタッフが集まっていた。


カウントダウンまであと10分


演者からのアナウンスが流れる。


「もうすぐ一年が終わりだね。君たちあなた達の一年はどうだった?」

と軽快なリズムにノリながらマイクパフォーマンスをしていた。


この一年って言うかいろんなことあったからなぁ。。。

新しい年は何とか平凡に暮らしたらいいなぁ

とタケシは思っていた。


この時、もうすぐ世界的な魔の手が人々を襲うと言うことは誰も知る由もなかった。


そんなことも知らず、この島に集う人々は

年越しの宴を楽しんでいた。


「さて間もなくカウントダウンまで5分だよ!ドイツ村から花火もあがるから、みんな外に出てカウントダウンいくよ~~~っ!」


ライブハウスのエントランスに向かう人々


そして。。。


「5、4、3、2、1」


ドカーンと大きな花火が打ち上がる。。。

空一面に煌びやかな火の華が咲く

次々に打ち上がる花火に人々は酔いしれている。


タケシはこの花火をいつか誰かと見られのかなと

少しの期待の思いが湧いてきた。


「HappyNewYear!」

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