水の惑星~first
たから聖
第1話 水の惑星
とある惑星での、出来事だった。
【その女危険につき】
と、業務連絡がある惑星から
入ってきた。
宇宙船を打ち上げる予定を急遽
キャンセルした惑星から
緊急事態の連絡が、
絶えず入っていたのである。
宇宙無線を繋ぐと……
『ピー。ガリガリガリガリ……』
一人の初老男性が無線を必死に
繋いでいた。
初老男性が、やっと他惑星と
宇宙無線が繋がり、話し込んでいると……
極秘情報が入ってきた。
その後、痕跡を残さない様に
無線は……プチッと……途切れて
しまった。
これは、危ない!
初老男性は、万が一の時の為に
その内容を、暗号化した。
宇宙船の打ち上げをキャンセルしたはず、だったのだが……
【WANTED!!】という張り紙を
引き裂く様にして
女は宇宙船に乗り、強引に
この惑星へと辿り着いた。
その女は、惑星中から
【宇宙指名手配犯】として
知られていた人物であった。
初老男性は……落胆した。
『何故だ!…………なぜ』
女が、コックピットをパパパっ
とボタンを押すと……
扉が、ガコーンと開いた。
女は……宇宙船から降りるや
いなや、ライフル銃を乱射してきた。
『お目にかかれて、光栄だわ?
私の顔も、全て知られてるから
狩るのが楽で、いいわ!ふふ。』
その女は……生き物という
生き物を、全て抹殺していった。
『こいつら……旨そうね?』
『アッハハハ!!不様ねぇ』
あまりの惨劇に、初老男性は
頭を抱えた。
『頼みます!辞めてくだされ』
女は……初老男性のすがってくる
有様にも、不気味な笑いを浮かべていた。
女はこうして食料を調達しては、
銀河系に停車している
銀河系列の貨物列車で取り引きをして、食いつないでいた。
『こ……こんな拷問、
あっていいのか??!ひどい!』
初老男性を始め、人々が嘆いていると、女は続けた。
『あんたらねぇ、見ちゃおれんね?!生きてく為には
弱肉強食よ?!分かる?クッ!』
『これだから、惑星って
甘いのよね!嫌だわ~~笑』
この水も、いただくわ!!
と……女はゴクゴクと飲み始める
星人からすると、命の水で
あった。女は空になった容器を
『これでも喰らいな!!』
と……初老男性の頭めがけて
空の容器を投げ捨てた。
その時、初老男性は……考えた。
『これで、勘弁してくだされ』
と言い女に、核ボタンケースを渡したのである。
女は気分が良くなり
『裏取引って~やつ?!まぁ
仕方ないわねぇ?!』
核ボタンケースを受け取った女は
早速ケースを開けると
銃口を初老男性に向けながら
『暗号吐きな!!』
女の脅しにも屈せずに
初老男性は……違う暗号を伝えた。女はためらうことなく
核ボタンを押した。
『ドドドドーーーーーン』
惑星中にものすごい音が響いた。
遠くから、爆発した惑星が
見えた。初老男性に、はめられた
女は
『グッナイ❤』と言い初老男性を撃ち殺した。
女は、まだ気がついてなかった。
暗号の解読作業が出来るモノが
居ないのか?いや。とある人物
に、託されていたのである。
女は、核ボタンケースを
用済みね!と言わんばかりに
その場に捨て去ると宇宙船を
発射させようとした。
と……その時
すがってくる人々が目に付いたが
女は無視して慣れた手つきで
操作し飛び立って消えてしまったのであった。
貨物列車が停車しているところへ
女は、やって来た。
『さぁ、今日の稼ぎは幾ら?』
ドサッと……先ほど殺した
動物達を車掌に自慢げに見せると
女は、『核ボタン押して来たわ!
最高の気分よ?!あははは!』
車掌は……帽子をゆっくり脱ぐと
女をジッと……にらみつけた。
『物的証拠。確かに。』
女は……取り引き中に両手に
手錠をかけられた。
ホンモノの核ボタンの暗号を
知っているのは車掌本人であった。
『残念だね。知恵が無いよ。君』
初老男性と、車掌本人との
頭脳プレーに、気がついた女は
愕然としていた。
『え!まさか、まさか地球を
核ボタンで?!
私の故郷が…………。取り引き先が……。』
女は、項垂れると……車掌本人に
すがる様な目を向け
問いただすと、
『私が……押したのって?』
『そう。君は指名手配犯だ。
ようやく自分の愚かさに気がついてくれた?』
車掌は……話を続けた。
『君は、地球の役目を知らなすぎだ!また地球を一から作らなくては。』
車掌関係者に連れられて、
銀河パトカーに鎖をつなぎ、
貨物列車の中に、女を放置した。
女は、『死にたくない!!』
助けてくれ!!と騒いでいたが、
車掌が……合図すると、
女は車両ごと、ブラックホールに
捨てられた。
女は、不様に宇宙のチリと
化した。
『一件落着だな、さあ、荒らされた惑星を偵察しに行くか。』
車掌は思った。
『初老男性は……地球と銀河系
を天秤にかけたんだな?
咄嗟の判断とはいえ。仕方ない』
車掌関係者は宇宙船に搭乗し
発射ボタンを操縦し始めた。
ゴゴゴゴッと、大きな音が……
したと同時に、
壊れた地球の姿を見ていた。
『さぁ、また始めよう。』
宇宙戦艦が……
車掌関係者によって、ゆっくりと
動き始めた。
車掌の目には、涙が溜まっていた。初老男性は……昔からの
友達だったからである。
遠い星空を見つめて
関係者は……黙祷を捧げていた。
【END】
水の惑星~first たから聖 @08061012
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